TaichiShiraishi

英雄は嘘がお好きのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

英雄は嘘がお好き(2018年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます



試写会で見てきました。

ライトなコメディ時代劇にちょっとだけ反戦メッセージと息苦しい時代を生きる知恵を教えてくれる秀作だった。



やっぱメラニーロランとジャン・ディジャルダンの演技力があってこそだな。二人とも流石すぎるぜ。あとメラニーロランの妹役の演技力もうまいかどうかはわからないがやけに笑えた。顔芸が面白い。



歴史系コメディとしても妹の婚約者が戦場に行って心配させないために偽の手紙を出して最終的に死んだことにしちゃうという話のラインはリアリティギリギリありそうで絶妙やね。びっくりしたのは予告でわかるような、妹結婚⇒旦那出征⇒手紙来なくなる⇒姉が得意の創作で手紙を捏造⇒妹感動⇒都合よく決戦で死亡したことにという流れが冒頭10分くらいで済ませてしまう手際。こんなにポンポン進むなんてな。もっと短かったかも、

おかげで91分というタイトな時間にまとまっていたのも好感です。

ただその分、メラニーロラン演じる姉のキャラの掘り下げとか、時代背景とかがだいぶはしょられていたのはちょっと残念。

それにしてもディジャルダンのあのダンディな見た目でボロボロの格好でイワシを生でまるかじりとかシテルとインパクト違うな笑。「大人の恋の測り方」でもそうだけどコミカルで普通の人とは違う人間の演技が上手い。



赤い軍服が似合う人もなかなかいないしストレートなカッコよさと胡散臭さが両立できているのは稀有な存在だと思う。よりダメ人間に見える。



そしてメラニーロランの美人だけど性的な魅力は薄めなちょっと神経質な雰囲気もあの当時のオールドミスとしてはハマってる。早口でまくしたてる演技も上手い。



そして美術もリアルで素敵。さすがリアルな現存している屋敷だけある。

ホラが膨れて取り返しがつかなくなっていくさまもおかしくも恐ろしい。やっぱ人間まともに生きなければ。石油なんて掘り返してないくせに。

そうやって見え貼りまくった挙句妹の旦那のあいつと銃で決闘する羽目になる場面が一番笑えた。銃の照準どんだけ合わねーんだよ(笑)。
ディジャルダンさんやっぱ顔芸が巧い。

そんなこんなで最後は突然ヘビーな戦場での体験を話しだすディジャルダンさん。そこの語り口もさすが名優。そして戦場描写は彼のセリフでしか出てこないけど完全にプライベートライアンっぽいな。

あそこのトーンの切り替えが急すぎてちょっとうわってなったけど。

それから最後にコサック騎士団が来るところは立ち向かうのは熱いんだけど、子狡い男らしく機転も効かせてほしかった。本当に仁王立ちで連射するだけなんだもんな。

でもフランス映画だけど捜索者とかガンマン大連合とか西部劇の名作っぽい絵図とかもリコーネっぽい音楽が流れるのはツボだった。

そしてラストはとても抜けがいい。もう自分を偽ることなくらしく生きることを決めたディジャルダンさんの逃げの一手の後ろ姿が清々しかった。あそこでスパッと終わるのもわかってますな。

フランスっぽい喜怒った雰囲気もありつつもいいコメディでした。メラニーロラン相変わらず綺麗。