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シンバのロアーのレビュー・感想・評価

シンバ(2018年製作の映画)
3.7
幼い頃、"制服を着た警官の権力は絶対"ということを学んだ孤児のシンバは、悪徳警官を目指して見事署長にまで上り詰める。
だが、妹のようにかわいがっていた女性がレイプによって殺害され、心を入れ替えたシンバは犯人たちに制裁をくだす。

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子どもにドラッグを運ばせる悪党・・・というところに、何となくきな臭さは感じていたものの(その悪党が結構好きなソーヌー・スードだったのでちょっと油断してた)、「ダバング」兄貴のようなお楽しみ警官アクション映画かと思っていたら、インターバルを挟んだ後半から映画の雰囲気も主人公の性格も一気にガラッと変わって、実は社会問題にぶっこんだレイプ撲滅ダメゼッタイ映画だと分かりました。”レイプ犯には死あるのみ”、”レイプ犯の親もまた同罪"と全力で脅しにかかってくる映画です。

実は今作「コップ・ユニバース」というシリーズの3作目らしくて、1作目は「ヴィジョン」のアジャイ・デーヴガンが主演。このアジャイ・デーヴガンも今作に登場します。とにかく、唐突にかっこよくド派手に豪快に登場します。ホント、コップ・ユニバースの存在を知らなければ突然何なの?誰なの?って感じにいきなり登場します(次回作の主役として最後にアクシャイ・クマールのお披露目もあり)。

他国映画だと、とは言え超法規的制裁にちょっとしたもの悲しさや哀愁めいたものを残すイメージなんだけど、インド映画ではこれこそ正義だとどーんと言い放つ・・・というか脅してくるのが力強い主張で良かったです。"レイプ犯に死を”というのが、女性の総意であるという描写も。
劇中でも年間4万件近いレイプ被害があるって言ってたし相当深刻な問題ですよね。「バス集団レイプ事件」って言うのも本当にあった事件なんだろうな・・・怖くて調べる気になれないんだけど。

どれだけ勉強しようと、私たちには犯罪を防ぎようがない。
地方に暮らす娘や外出で遅くなる娘を親がどんな思いで待っているのか。

女性や娘を持つ親全員の気持ちを代弁した台詞や、死をもって容赦なく裁かなければ犯罪はなくならないという主義も心に残るものがありました。

そんな深刻なテーマの映画でしたが、グラサン女子バイカーの集団や全身金ピカでトランペットを吹く集団など、そろそろインド映画に慣れてきた自分ですらはっとするようなバックダンサーがいるダンスシーンも見どころ。
"獅子(シンバ)がやってくるぞ!"っていうテーマ曲がかっこ良かったです。
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