Towanda

ジョナサン ふたつの顔の男のTowandaのレビュー・感想・評価

4.3
Filmarks試写会にて鑑賞。

これを観るときの精神状態?が、なんだかものすごく素直にこの映画に合ってた。だからもしかするとそれ以外の時はこんなに感動(涙とかではなく、いろんな意味での)しなかったかも。

彼は建築事務所でパートとして働いている。建築家志望らしい、華はないが整頓された洒落た部屋に住んでいる。モデルルームのようで妙に生活感がない。
彼の中にはもうひとりの自分が住みついている。彼とは12時間ずつ体を共有している。

これがハリウッド映画だったら、下手にアクションとかを入れてベタな展開になってたかもしれないけど、そういうのを一切いれず最後までいったところがすごくいい。

頭を使ってではなく、ひたすら感性で観る映画だと思う。映画に対して理解を深めるのもいいけど、そうしてなくても全然面白い。

毎朝ランニングするのが日課の彼の「朝ランニングをした。木々のいい匂いがした」というセリフがあって、「あ、こういうのを楽しむ映画だ」と思った。自然の柔らかさと、無機質な病室や職場の硬い感触。そういうのを終始一定の温度を保った映像と撮り方で、楽しめる映画だった。

ところでちょっと変な見方をしてしまった。
仕事のこと、恋人のこと…ただでさえ誰もがそういうものに苛まれる生活の中で、二人の自分がいるということは果たして苦しみだけなのかな。
むしろストレスが分散されて、変な話それをよりどころにはならないんだろうか。
もう一人の自分がただ苦しみだけでなくなったクライマックスにかけて、そんな疑問が生まれた。
Towanda

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