福福吉吉

ロード・オブ・カオスの福福吉吉のレビュー・感想・評価

ロード・オブ・カオス(2018年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
ユーロニモスは悪魔崇拝を標榜するブラックメタルバンド「メイヘム」の活動のリーダーとして活動していた。そんな中、ボーカルのデッドが突如、ショットガンで自らの頭を打ち抜いて自殺してしまう。ユーロニモスは彼の遺体の写真を喧伝し、ブラックメタルのカリスマに躍り出る。ユーロニモスの言動に感化されたヴァルグがユーロニモスに接触するとともに教会の放火を行い、自分の邪悪さを誇り始める。ヴァルグの暴走はユーロニモスにも止められなくなり...。

◆感想◆
ブラックメタルバンドで有名になろうとした主人公が非道徳的な行為でカリスマ化するが、それに感化された青年の暴走が主人公に降りかかってくるというストーリーとなっており、ブラックメタルと称して破滅的な行動を日常的に行う主人公の心情は全く分からないものの、ブラックメタルのゆき過ぎた末路として自身にも破滅的な顛末が降りかかってくる様子はまさに因果応報といったところで、観ていて気持ちにモヤモヤの残る展開となっていました。

ユーロニモス(ロリー・カルキン)は真のブラックメタルを追求するとしてバンド活動に執心しており、意味もなく物を破壊するなどの奇行を繰り返し、悪魔崇拝を標榜しており、とにかくビッグマウスが尽きないキャラクターでした。その裏では家族との生活も大事にしていて、観ていて「ブラックメタルってなんやねん?」という疑問が浮かびました。

ユーロニモスがリーダーのバンドの「メイヘム」に参加したボーカルのデッド(ジャック・キルマー)はかなりの奇人であり、動物の死骸の匂いを吸引したり、自分の身体をナイフで切り裂いたりと行動を伴うブラックメタルさんであり、最後にはショットガンで自殺するのですが、得体の知れなさが怖いキャラクターでした。そんなデッドの行動を利用してユーロニモスはブラックメタルのカリスマ的な存在にのし上がっており、ユーロニモスのちゃっかりした部分が分かって面白かったです。

その後、ヴァルグ(エモリ-・コーエン)がユーロニモスの言動に感化されて、接触を図ってきます。ユーロニモスの言動がバンドとして成功するための手段だったのに対して、ヴァルグはデッドと同じく悪魔崇拝や破滅的行動自体が目的であるため、2人の間には軋轢が生まれます。教会に放火して喜ぶヴァルグの心情は全く分かりませんでしたし、その行為を勲章のように感じるブラックメタル信奉者の気持ちは異常としか言いようがありませんでした。

ブラックメタルというジャンルを理解することはできませんが、それを信奉して自己陶酔に落ちる人々の奇人ぶりは興味を惹きましたし、最後まで目の離せない作品だったと思います。これが本当のブラックメタルだと言う人は少ないでしょうね。

鑑賞日:2025年3月24日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
福福吉吉

福福吉吉