オリカ

最高の人生の見つけ方のオリカのレビュー・感想・評価

最高の人生の見つけ方(2019年製作の映画)
3.8
試写会にて一足早く鑑賞しました。ハリウッド版も以前鑑賞したことがあるので 結末はなんとなくわかっているのですが、どんな風にストーリーが進んでいくのか、とてもワクワクして観ました。

結論から言ってしまうととても良かったです。
多少 無理やりな感じもありましたが、とにかく「限られた命を どう生きるか」というストレートなメッセージが全面に出ているので、難しい考察や伏線を気にする必要もありません。
命についてのメッセージを、素直に受け止め続ける…という感じです。

とにかく吉永小百合が可愛らしい。そして常に正しい(その正し過ぎる部分が本人の首を締めていたのですが…)。天海祐希が演じる女社長も素敵だった。色んなファッションを着こなしていてカッコ良かった。
本来であれば水と油だし、生きてきた過程もまるで違う2人。絶対に出会うことはなかった2人が出会い、生きられなかった少女の「やりたいことリスト」を代わりに叶えていく。

全体的にすごくベタな感じではあるけれど、だからこそ冒頭から涙腺が簡単に緩んでしまう。
重たいテーマではあるけど 決して暗い映画ではなく、とても前向きな作品だったと思います。






——— 以下、ネタバレ ———



ハリウッド版では男性だったけれど 本作では女性ということもあり、女性目線の事柄が多かったように思います。そして、見る側のターゲットも女性が多いだろう ということを予測して?女性が共感できるように創られている部分も多かった気がする。
というのも、ストーリーの中に登場する男性陣がとにかくダメな人ばかりだった(笑)

前川清が演じる幸枝の夫は、家事や育児にほぼ協力したことはなく さらに自分の母親の介護を幸枝に押し付けていたようだった。
息子は自室に引きこもっている。これに関してはダメと決め付けられないので なんとも言えないけれど 少なくとも頼れる存在ではなさそうだった。
(満島ひかりと本当に血が繋がっているのか?…と疑うレベルで似てませんでした…笑)
マ子の超年下の旦那は浮気し放題、お金使い放題…マ子を愛しているのではなく 利用しているだけ…。
そしてマ子の父親は借金を作った挙句、マ子を捨てて蒸発…。
観ていて辛くなるくらい、ダメのオンパレード…。

良くも悪くも 一緒に過ごす男性の存在というのは、女性の人生にとって とても重要なのだと改めて思わされた。(生活に密着しているのであれば 同性の友人も然り)
そして、娘である満島ひかりに自分が死んだ後のことを頼んだ時のシーンも印象的だった。

「約束なんて出来ない。私に押し付けないで。なんで私がやらなきゃいけないの?女だから?」

こんな風に言わせてしまうというのは、子供の頃からずっと色んな事を負担してきたのだろうと想像がつくし、そして色んな負担を抱えていた母親を見ていたから 余計に感情的になったのだと思う。

「最高の人生」というのは、幸枝の様に専業主婦になったり、マ子の様にのし上がって女社長になれば 必ず手に入るというものではなくて、やっぱり「自分らしく、自由に生きる」に尽きるなぁと感じた。そして、そんな風に生きるためには お金が必要だったり 協力者が必要だったりするので、主婦業を含めた 仕事や様々なことを頑張らねばいけない。
よく言われていることだけど、順番を逆にしてはいけないのだなぁと改めて思う。
幸せに生きるために頑張るのであって、仕事をするために生きていてはダメだなぁと。
どんな肩書きを持っているか というのは一切関係なく、自分を幸せにできるのは自分だけだと思う。

マ子は本当は自分に自信がなかったから認めてもらいたくて頑張っていたし、幸枝は本当は辛いのに夫や子供達との衝突を避け 自分が犠牲になることで問題から逃げていた。
でも、マ子は社長にならなくても人間的に魅力のある人なので 本当はそんなに頑張らなくても良かったし、幸枝も家事も介護も放って逃げたとしても責められる筋合いはなかったけれど、そんなことは 当時の幸枝に簡単にできることではない。
経験したり 年月を経てみないとわからないこともある。なのでどんな生き方をしても間違っていた訳ではないし無駄ではない。
幸枝が「私の人生を バカにしないで」と言っていた様に、どんな人生にも それぞれのストーリーがある。
「自由に生きる」というのは案外難しいものなんですね…。

ともかく 今後の生き方について考えさせられました。
最高の人生にしたいなぁと素直に思うし、そのために何か頑張ろうと思います。
(何を頑張るかはこれから考えます…^^;)

それにしても前川清にてんとう虫のサンバをわざと下手に歌わせたり、やりたいことリストとは関係ないムロツヨシが スカイダイビングさせられたりしてるのは笑っちゃいました(笑)
完璧なヲタ芸も笑えますが…。ムロツヨシの存在によってどんよりした暗い映画にならずに済んで良かったです。

色々書きましたが、何だかんだ言っても やっぱりお金がないと「やりたいことリスト」ほとんど叶えられないなぁ〜ってボンヤリ思ったり(笑)
生きるって難しい…^^;
オリカ

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