平野レミゼラブル

MANRIKIの平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

MANRIKI(2019年製作の映画)
3.1
観る前からスッゲェーサブカル臭漂う感じだったが、蓋を開けてみればドがつくほどにサブカル映画だったでござる。うっわァーッ!わっかんない!この世界はわかんないわ!!なんか金髪おかっぱ丸眼鏡にベレー帽被った性別不詳の人が大絶賛してそう!!(クソ偏見)

というワケで全く趣味ではない映画ではあったけれども、こうもストレートにサブカルアートを流し込まれて悪い気はしなかったです。これを言語化しろって言われてもまあムリなんだけど、存分にこの世界は堪能したというか。「なんだ、肌に合わないと思ったけど存外悪くはないじゃん」という感じ。でも、これを絶賛してる人とは友達にはなれない、そんなニュアンス。伝わってくれ。

とはいえ「万力で整形する」というワンアイデアで突き抜けるかと思ったら、万力自体がおざなりになるのはかなり拍子抜け。チープだからこそ不気味な顔が潰される描写や、怒濤のスプラッタの画が面白かっただけに、そこを推さない辺りにサブカルアートとの価値観の相違を感じる。
その代わりに挿入されるネタが「蕎麦の啜る音は国際社会からして云々」など「お前、それ時事ネタメモった手帳見返したついででブッ込んだだろ」って感じなのはまあ…うん……そこは文化の違いとかでなく純粋に駄目と感じた部分ですね。

本作観賞のモチベーションであった斎藤工はやはり抜群に良い。彼、間違いなくイケメンなんですけど作品によってかなり顔つきが変わるじゃないですか。本作では「ツルッとしたストレートなイケメン」「ホームレスそのものだけど滲み出るイケメン」「その中間のやさぐれたイケメン」と斎藤工の持つ全てのイケメンヅラを晒している。その七色のイケメンっぷりは狂気の整形師としてピッタリすぎる。
本作のプロデュースも担当してるけど、押しも押されぬイケメン俳優として活躍した今でも「30過ぎて童貞だったから魔法使いになった役」を嬉々として演じる人なので納得だ。純粋にサブカル・B級・カルトといった映画が大好きなのが伝わってくる。

というワケでこういうのが好きな斎藤工に釣られて観に行ったら「意外にイケるじゃん!」となった味の映画。絶賛したり、人に薦めたり、永野のラッセン以外のネタを見ようという気には微塵もならなくはあるけど、まぁ心地良くもあったとは言っておきましょう。

あっあと本作の顔写真と一緒に名前が出るクレジットはいいですね。役者の顔と名前覚えるの苦手なので助かる。