ゆーさく

戦場でワルツをのゆーさくのレビュー・感想・評価

戦場でワルツを(2008年製作の映画)
3.2
1982年のレバノン侵攻に従軍した監督自身の体験を、同僚へのインタビューを交えてアニメで表現したドキュメンタリー映画。


映画全編が、陰影の濃い人形劇のような、ハードボイルド版鷹の爪団みたいなペタッとしたアニメで表現されている。
でもコイツらバチバチのユダヤ人なので、鷹の爪団見せたらめっちゃ怒ると思う。
ヒトラーの下に仕える日本人の吉田くんという絵面がジャップへの誤解を招きそう。


それはともかくこの映画、ドキュメンタリーのくせに実際の映像を使わず、前衛的なアニメ表現で戦場の様子を描写している。
ドキュメンタリーという感じがあまりしない。

多分、戦場の記憶がすっぽり抜け落ちている監督自身の主観で描いているので、やや現実感の無い、あいまいな表現にしたくて、アニメを選んだんだろうと思う。


監督の記憶を曖昧にしていたトラウマの根本が、サブラー・シャティーラ事件というレバノン軍団によるパレスチナ人への大虐殺事件。
イスラエル軍である監督も、レバノン軍団側に立って照明弾を打ち上げるなど、虐殺に手を貸してしまっていたようだ。


映画のラスト、監督がその記憶を取り戻した時の映像表現は一見の価値あり。映画を観てる俺たちにその感覚を少しだけ体験させてくれる。

このためのアニメ表現だったのか。。。
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