akihiko810

おいしい家族のakihiko810のレビュー・感想・評価

おいしい家族(2019年製作の映画)
3.6
「あのな、父さん、母さんになろうと思う。」

銀座の化粧品売り場で働く橙花(松本穂香)は、夫と別居中。仕事にも身が入らず、東京での生活にも疲れ気味。ちょうど母の三回忌を迎え、地元の離島へと帰った橙花は、実家に足を踏み入れて衝撃的な光景を目にする。父(板尾創路)が亡き妻の服を着て立っていたのだ。 「父さん、母さんになろうと思う」 思いもかけない父の変身に戸惑いが隠せない橙花をさらに驚かせたのは、食卓に見知らぬ中年男・和生(浜野謙太)と女子高生・ダリア(モトーラ世理奈)が加わっていることだった。 「父さん、この人と家族になろうと思う」 この島に娘のダリアと共にやって来た和生は、教会の二階を間借りしながら何でも屋を始めたが、食べるのに困っていたところを父が我が家へ呼び寄せたという…。

うーん、不思議な作品。離島の生活とおいしそうな食事、というスローライフ系作品かと思いきや(これはこれですごくいいのだけど)、そこに「父さんは母さんになる」という「???」な展開となる。
父は「女になりたい」のではなく、どうやら「死んだ母さんに同化したい」模様。
…うーん、だったら、別に女装するだけでよくない?男と結婚しないでも(同居するだけで)よくない? とまっとうな疑問が出るのだが、そんな疑問は置き去りにして話は進む。
そしてヘンテコなのは、この父を誰も変に思わないこと。いや、「変だ!」と断定する青年・滝がいるが、彼は実は秘密を抱えていて…

とにかく「いやこれおかしいでしょ」という疑問がそのままに話が展開され、ラストの父の結婚式になり、島の人々は祝福し、結局なにそれ?、というか「細けえことは気にすんなよー!」な力技で終わってしまうのは、離島の綺麗な海のなせるワザなのだろうか。海がきれいだから、あとは何もどうでもよくなる、みたいな。

とにかくヘンテコな作品であった。ヘンテコさだけが浮いている、奇妙な作品
akihiko810

akihiko810