しめじろー

おいしい家族のしめじろーのネタバレレビュー・内容・結末

おいしい家族(2019年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

性同一性障害の話かと思ったら違いました。正真正銘「家族」の話でした。
私も田舎に両親を置いて東京でぷらぷらしてる娘なのでね、やっぱり我が身に重ねちゃうわけです。母が他界したとして、久しぶりに実家に帰ったら父親が母親の服を着て、男性と結婚すると言い出す。ええーっ!!て思いはするでしょうけど、私は賛成ですよ。父が性同一性障害で、2人の間に愛があるならね。むしろ今まで娘として父を強要して負担ではなかったか、自分を押し殺していたようなことがなかったか、申し訳なく思いますよ。…しかし、父が母の死を乗り越えられなくて、母を感じたくて母の服を着ている、母になりたくて結婚したいと思っている…となれば話は別です。序盤、「子供すぎるなあ」と思っていた橙花の姿が急に私と近くなります。
傷がついたら治したくなる。治せるならそれが一番いいと思ってしまう。でも傷ついたまま、そのままで、それで構わないのですね。ただ一緒にいる、それだけでいいのですね。頑張って傷を治して乗り越える映画もたくさん見てきました。だから、こんな映画もあっていいのですね。
しかし…結婚て、今は言葉のニュアンスも変わってきているのでしょうか。「家族になる」のは全然いいけど、「結婚する」となると私は驚いてしまうなあ。この2人恋愛感情ないもんね?恋愛はいらないのか…。生物として、人間の理性はここまできたのか…。

「受け入れる」ことも正解なら、「受け入れられない」ことも正解だと思います。瀧くんはそういう立ち位置のキャラクターなのかと思ったら、そっちかあ。いいんですけどね。なんかね…。
メッセージはいいのに、ストーリーテリングがイマイチな気がします。違和感が先に立って、話の主題をつかむのに時間がかかってしまいました。ジェンダーの話と勘違いしてしまうと橙花に寄り添えない。もっと早めに感情移入させてくれてもいいのに…。とはいえ映画全体の雰囲気はほっこりでとても良かったです。もっとピリッとしてくれてもいいのよ。