ノラネコの呑んで観るシネマ

ボーダー 二つの世界のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)
4.3
これはなかなかユニーク。
独特の風貌を持つ主人公の女性は、人間の罪悪や羞恥といった感情を嗅ぎ分ける特殊な能力を持ち、港の税関で働いている。
ところがある日、自分と似た風貌を持つ男と出会ったことで、閉塞していた彼女の人生が動き出す。
自分は人と違う、しかも劣っているとずっと信じてきた主人公は、男がもたらした全く新しい世界の衝撃に打ち震える。
元の世界と新しい世界の境界に迷う彼女のアイデンティティの葛藤と、彼女が能力を使って協力している児童ポルノの捜査が絡み合う構造。
北欧フォークロアな独特の世界観で、同じ原作者の「ぼくのエリ 200歳の少女」と共通する要素も多いが、指向する先はむしろ「RAW」や「ビザンチウム」とかが近いかも。
主人公が本当の自分を解放し、居場所を見つける物語。
特殊メイクの主人公が博物館の原始人みたいと思ったら、モデルはネアンデルタール人らしい。