タイトルの「ボーダー」うまいですね。
罪と罰、男と女、正義と悪、ひととそれ以外(ローランド様かw)
税関職員のティナは、ひとにはない嗅覚が備わっている。
いつも通りの仕事中、ふと目の前を通り過ぎる男に奇妙な匂いを感じ取る。
しかし彼は何も怪しい物は持っていなかった。
数度顔を合わすうちに、ティナはその男ヴォレに惹かれてゆくのだが。
原作者は「ぼくエリ」のひとです。
↑は主人公達がそれぞれ現実の生活から疎外感を抱いており、孤独な魂同士が惹かれ合ってふたりの世界へ(境界を超えて)いってしまう話でしたが、これも似たような構成です。
ティナとヴォレ。
観てる側にはふたりの共通点が見えますが、
ティナからすれば、他人と親しくなることに壁を作っている。
一方のヴォレは最初に会った時から何かを察した雰囲気で、何気なくティナを導こうとしてゆく。
最初の手ほどきが幼虫…。
冒頭の食事シーンがパスタなんですよ、で、ちまこい幼虫→それすり潰したやつ→ミミズ…。
ぬぉおおおおお幼虫は耐えられるがミミズは、ミミズは止めてくれーーーー!
(子供の時からミミズが駄目で😅)
ティナとヴォレは惹かれ合った末に、うんまぁやることをやるんですが、ここボカさなかったのは偉い!めっちゃ評価したい!
彼女の秘密が受け入れられて解放されて、孤独を癒やされる感じ、あの涙と咆哮で胸がつまりそうになりました。
またやがて自分の出生の秘密も知ることになった時の
「私は自分が醜いと思ってた!」
「みんなから虐められていてもパパはそのままだった!」
の台詞に孤独の深さを感じて居た堪れなくなりました。
自分は醜い、普通と違う、異端者、ずっとそうだった彼女、それが実は…と判明した時、彼女は境界に立つ訳です、復讐に対義語が無いので、この場合は罪と罰、別離か共生か、こちら側に留まるかあちら側へ踏み出すか。
とても暗い話です。
そして切ない。
でも最後にちょっとだけ癒しがある。
寒々しい冬に更に寒々しくなっていく物語。
悲惨じゃなくて孤独なんですよね…共有できない孤独を抱える辛さ。
諦めて、歓びがあり、分かり会えなさを知り、また孤独に戻る。
辛い…マジで観てて辛かった…。
彼女とヴォレを演じた俳優さん達は、顔から全身から特殊メイクだそうです…うん、まあ、そうだよね…でもすごいナチュラルです。
彼女の住む家が森の中で、ちょろちょろと野生動物が出てきます、キツネ、ヘラジカ、鹿。
キツネがモフモフで可愛いです、癒し。