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ボーダー 二つの世界のalmosteverydayのレビュー・感想・評価

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)
3.5
スウェーデンの傑作ヴァンパイア映画「ぼくのエリ 200歳の少女」の原作者がこちらでも原作を提供、かつ共同脚本も手がけるとあって、これはなんとしても観に行かねば…!とこわごわ待っておりました。

というのも、自分は普段ホラーやそれに準ずる映画をほぼ全く観ないため、本作のある場面が「ショッキング過ぎる」と評されていることに強い懸念があったんですよね。「いや、そうは言っても『ぼくのエリ』絡みならきっと残虐描写すら画になってるはず」という期待も大いにあったのですが、それはある意味で完全に裏切られることになります。

残虐ではない。しかし、ひたすらグロテスク。まるで鑑賞者としての心の有り様を試されるかのような体験。盤石であると信じて疑わなかった足元の地面が不穏にグラつきバランスを失うようなあの「拠り所をひとつずつ失っていく心許なさ」について話し込みたい、深いところまで潜れそう。という欲求が頭をもたげて離れませんでした。終映後、製作過程や演者さんについて知りたいことや分からないことばかりであれこれ調べまくっています。深い余韻と爪痕を残す良作。
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