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ボーダー 二つの世界のJIZEのレビュー・感想・評価

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)
3.0
北欧独特の寒々しく澄んだ匂いと内的世界のバラード調の積み重ねは、深き沼に沈んでその場から抜け出せないような感覚にさせられる。原案・脚本は「ぼくのエリ」の原作者ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストで、主人公自身が内に抱え込む冷たい孤独感や異形の者に対する周囲の慈愛かつ冷笑する目線が本作にも通底している。また後半からまあまあ生々しく鬼畜的な方向へストーリーが進展するためかなり異作かもしれない。あらゆる"ボーダー"がこちら側とあちら側で社会性を織り込み語りかけてくる。人物描写のジワジワああなる感じや神話的な美と醜のありかたをあくまで自然的に映し出しているように感じた。かなり癖のある作品で目を背けたくなる描写もある。特に主人公、演者の特殊メイクの本気度にも似せが効いてて驚愕した。見る人をえらび落ち着いた演出で最後まで必死に駆け抜ける作品である。
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