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機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイのyumeayuのレビュー・感想・評価

4.5
『暇なんだね、マフティーってのは』

もともと数あるガンダム作品の中でも異色の存在であった「閃光のハサウェイ」。
原作は小説のため、これまでゲーム等で映像化されたことはありましたが、まさか映画化されるとは!

物語がハサウェイ、ギギ、ケネスら3人のキャラクターにフォーカスした内容のため、ドラマ重視な作りになるとは思っていましたが、思った以上にドラマパートが多くアダルトな作品となっていました。
特筆べきは圧倒的な映像美。これまでのガンダム作品と比べて群を抜く美しさでした。

また同時に、モビルスーツという存在がいかに恐ろしいものなのか改めて痛感させられました。忘れてはならないのはMSは兵器だということ。この時代のMSは恐竜的進化を遂げ、過度期にあたることもあり、その存在は脅威です。
特に主人公機のクスィー、ライバル機のペーネロペーはそれを飛び越え、もはや怪獣的でした。
過去のガンダム作品でも一般人視点でMS同士の戦闘の恐怖というものを描いたシーンはありましたが、今作はこれまで以上にその恐ろしさが描かれていました。

物語の主人公はブライト・ノアの息子、ハサウェイ・ノア。彼は"マフティー"と名乗り、反地球連邦組織のリーダーとして活動しています。
シャアとアムロと関わりがあったことから、"シャアの理想"と"アムロの純真さ"を持ち合わせた人物として描かれていますが、彼もまた一般人から見ればただのテロリストにしか過ぎません。
今作は勝手な理想を掲げ戦争を起こす側と、巻き込まれる一般人のギャップが随所に描かれていました。街でハサウェイが乗車したタクシーの運転手との会話がそれを物語っています。

今作は三部作の第一作ということで、まだまだ語られていない謎も多い。
特にハサウェイを苦しめるトラウマについて。
シャアとアムロにとってのララァのように、彼もまたクェスとの過去に縛られています。
劇中では「シャアの反乱」で初陣ながらもMSを撃墜した英雄として語られていますが、この辺りの詳細は気になるところ。
ちなみに撃墜したのはチェーンのリガズィのことだと思いがちですが、実はその前にギラドーガを一機撃墜していました。"撃墜"はこの事を指しているのでしょう。

そうなると原作では同じく小説の「ベルトーチカ・チルドレン」の続編として描かれていましたが、今作は「逆襲のシャア」がベースなんでしょうか⁉︎

また、やはり気になるのは物語の結末。
原作を知るファンはご存知だと思いますが、ガンダム史に残るトラウマ級のラストなんですよね。
果たしてこの劇場版はそれ通りとなるのか、もしくは改変されるのか…。

次回作の公開日が決まっていないのも気になりますが、はやく続きが見たい!
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