【夫として、父として、リーダーとして、男として......惑いもがく物語】
チームリーダーとして人望の厚い男。しかし、同僚が自殺し、妻も家出。今までにないプレッシャーの中で、男は惑う。
ちょっぴり楽しげな邦題ですが、実際はシビアな現実に惑う男の物語。子育ての苦悩だけでなく、様々な苦悩が彼を襲います。
ですが、監督の目は主人公だけに向けられているわけではありません。突如家出をする妻にも、母の失踪を懸命に消化しようとする兄妹にも、その他の人々にも。この多角的で冷静な視点が、一見地味なドラマを豊潤な人生賛歌に昇華させているんです。
おそらく観る人によって感じ方はバラバラのはず。その人がどのような人生を歩んでいるかが、この物語の受け止め方に影響するんですよ、きっと。
なので、互いの人生観を共有したい大切な方と観ることをオススメします。鑑賞後、話が弾み、今まで以上に互いのことを理解し合えるようになるでしょう。
私の場合、時間が経つほどに主人公への共感が深まり、大切な映画の1つになりました。
※監督は通常通り脚本を執筆したものの、俳優陣には簡単なシノプシスしか渡さなかったそうです。俳優たち自身に劇中人物になってもらい、よりリアルな感情表現を引き出したいと考えたからだとか。なるほど~、道理で感情が生々しいわけです。