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パパは奮闘中!(2018年製作の映画)
3.9
名作『クレイマー、クレイマー』と比べてみたならば、ロマン・デュリス演じるパパの方がダスティン・ホフマン演じた父よりもいろいろと余裕がない感じがした。

なので、孤軍奮闘ぶりは共通していても、笑えるようなところが無いぶん、こちらの方がより深刻でシリアスな感じがある。

それは、ロマン・デュリス演じるオリヴィエの勤勉な性格からくる仕事への責任感の強さや真面目さに依るものなのに、それが逆に家族と自分を追い詰めてしまっているというその矛盾が、なんともしんどい。

家族のために稼いでいるのに、それが家族に伝わらない、報われない。
そして八方塞がりになり、さらに自己嫌悪の種をまいていくという悪循環…。

髭面でむさい感じのロマン・デュリスも素敵だわぁ…なんて最初はときめいていたけれど、だんだんと疲れきって憔悴したような表情に変わっていく姿に、このパパの苦悩の深さが見てとれて、思わず同情したくなってくる…。

『クレイマー、クレイマー』と違って、出て行ってしまった妻とのやり取りは描かれないが、助けようと来てくれた母や妹との会話の中に、彼の傲慢な部分も垣間見えてくる。(助っ人に来てくれた妹に、あんなこと言っちゃダメでしょ!)


そしてそれは家庭を省みなかったのであろう彼の父と同じだと、母と妹から非難されてしまうところに、親子二代に渡って同じ運命を繰り返すかのような暗示もある。

家庭の幸福や平穏な日常が当たり前なものではなく、誰かの犠牲や我慢の上に成り立っている場合もあるということ、そしてその幸福な日常は少し歯車が狂っただけでいとも簡単に崩れてしまうかもしれないということ。

それはどこの国でも、どこの家庭でも、いつの時代でも、共通の問題であり永遠のテーマなのかもしれないなと、考えさせられてしまう。。

子供たちが、幼いなりにも気を遣って、我慢をしているという健気な姿にもなんだか胸が締め付けられる。。

果たして、この父子の想いは母に届くのか?

終盤のシーンは、子供に接する父の姿に柔らかさや優しさが増していたように感じて少しホッとした。

壁に書かれた「On t'attend!」のメッセージが、届くといいなと心から思うよ。。