このレビューはネタバレを含みます
並行して進む市子としての過去とリサとしての現在
同一人物なのに本当に違う人、それでも根っこは同じ人と感じさせる女を演じる筒井真理子さんががすごく良い。
池松壮亮さん、市川実日子さんの2人もよかった。
キャストは、はまり役な感じでした。
いろいろに、人間の怖さ、弱さ、バカさ加減、哀しさがちりばめられていて全体を通して、締め付けられるようなゾワゾワ感が残る。
特に最後、車を運転する、サイドミラーにうつる市子のよこがお、ドキドキぞわぞわ。彼女の感情の高ぶりとその行方に気持ちがざわつく。
復讐したつもりで、結局復讐にならなかったと市子は思うんだろうけれど、結果基子に対しては、復讐になっていたんだろうな。でも、あれだけ世間にたたかれた後で、ネットに自らあんなものをあげるなんて、ネジがどこかで抜け落ちてしまったとしか思えない。
基子については、マジこの子大丈夫かな？って見ながらずっと思っていたけれど、かなり危ういよね。はっきり言って、最初は彼女が妹の事件を画策したんじゃないかと思ったくらい。（そんなことはなかったけれど）
無実で警察に捕まるような罪はないのに、社会的に追い詰められ抹殺されていく過程の苦しさと理不尽さ、絶望的な気持ち、そしてささやかにあがくものの最後まで救われることなく終わる流れが、現実ってこういうものなんだろうなと感じさせるものがあった。
クラクションの音が耳に残る。
