えるどら

FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティーのえるどらのレビュー・感想・評価

3.0
東京オリンピック開会式を明日に控えた今ならライブ感マシマシやぞ!!

いま見るしかねぇ!ってんで見はじめたんだけどだんだんしんどくなってきたね…。

「FYRE」は誇大広告とインフルエンサーによるバズで集客しまくったけど、いろいろ間に合わなくて中途半端どころか何も用意できてない状態で客が到着、見事に大失敗っていうイベントだった。
右を見ても左を見ても明らかに開催は不可能。だけどビリー(責任者)は強行した。周りに「解決策を考えろ」って言って、投資家に嘘をついて。
ビリーはどこまで成功を信じていたんだろうか。どこから無理だと諦めたのだろうか。彼以外の誰もが無理だとわかっていながら、金も帰ってこないと感じていながら、なんとか今できる精一杯を尽くした。
戦犯はビリー。失敗したいちばんの原因は「現実を直視して引き際を見定められなかったこと」だと思う。

時は2021年7月22日。
明日には東京オリンピックの開会式が行われる。
国民と世界中の多くの人が開催に難色を示す中、明日からオリンピックがはじまる。
「FYRE」の失敗が世界中に広がったのは汚いチーズサンドイッチの投稿だった。先日、選手村のハンバーガーが汚いというツイートが話題になった。
「毎日何かが起こる。毎時何かが起こる。毎分問題が起こる。」映画の中で印象的だった言葉だ(こんな感じの言い方だったと記憶してる)。開会式を明日に迫った今日でさえ、過去のいじめだの、過去の差別発言だので毎日炎上中だ。
おまけに感染者数は絶賛右肩上がり。ワクチンを打てば一切感染しないわけでもないし、そもそもワクチンもしっかり行き渡ってない。
問題が山積み…というよりも、無限に問題が発生するという印象だ。ハインリッヒの法則では、1つの大きなミスの背景に29の小さな失敗があり、さらにその後ろに300のごく小さなミスが隠れているという。おそらく平成ないし昭和からあやふやにしてきた無数の要因がこの一世一代の大舞台に大噴出しているのだろう。

「FYRE」で消えた金はセレブ達の金で、責任者のビリーが刑務所にぶち込まれて終わった。
トラウマを抱えた人もいたし、信用を失った人もいたけど、まぁアメリカ国内ってわけだ。
オリンピックならどうなる?オリンピックが大失敗したら?注ぎ込まれた金は私たち国民全員の金だ。責任者が辞めれば済む話でもない。国の貧困は人命に関わる。国の信用は国際社会での外交に関わる。
「FYRE」とオリンピックを同列に語れるかと言えば一概にそうとは言えないが、「周囲の反対を押し切って強行した結果、大変なことになった」例として重ねてしまうのだ。

「もう成功させてくれとは言えん。
だが金は返してくれ。」

参加者はこんな気分だったかもしれんね。
えるどら

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