しめじろー

FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティーのしめじろーのレビュー・感想・評価

3.8
芸能人に簡単に出演オファーができるアプリ「FYRE」。そのアプリの宣伝として、美しいバハマの孤島で7日間、バカンスを兼ねた1000人規模の音楽フェス「FYRE festival」が開催されることとなった。多くのモデルやインフルエンサーをバハマに招待し、彼女たちがそのバカンスっぷりをインスタにアップするや否や話題沸騰。100万円を超える高額チケットは即完売となる。しかし、パリピな主催者ビリーは、大規模イベント主催の経験がなかった…。インフラが無え、トイレが無え、宿泊施設は防災用テント…。吉幾三も真っ青な無い無いずくしのフェスが始まる…。
そういうわけで2017年に実際に起こった悪夢を描いたNetflix配信のドキュメンタリーです。冒頭は、フェスの主催者ビリーが詐欺罪で訴えられるシーンなので、「このフェスはうまくいかない」という結末を知った上で映像を追いかける形になります。
あらすじを見て、みんな善意でフェスの成功を信じて行動したにもかかわらず事態が悪い方へ転がっていく、正常性バイアスみたいなお話かと予想したんですが、主催者ビリーがひとり頭お花畑で、実行に携わるスタッフの焦り、もがき、もう逃げられないという恐怖がありありと感じられてこれはこれで面白かったです。絶対に間に合わないと悟ったスタッフの気持ちを想像すると本当にいたたまれないですね…。全然進まない準備に「あと○○日」というテロップ、見ているこっちが嫌な汗をかくハラハラ感がありました。
そんな中でもSNSでのPRは止めなかったということで、普通に能動的な詐欺じゃないかと思いますよこれ。だから起こるべくして起こった事件だなあという、なんだただの詐欺事件じゃないか、という謎のがっかり感もありました。フェスが失敗に終わった後日談もひどい笑。これはSNS時代の大悪党を描いた現代人必見のノワールムービーだと思いますよ!