Fate / stay night シリーズの完結編となる桜ルート、最終章。
何はなくともこの結末は…
このシリーズを原作や初期アニメからリアルタイムで追ってきたような人からすれば、きっと目からあらゆる体液が噴出して爆裂するくらいの大団円なのだと思う。短期詰め込みのわたしですら、ぽろりとお漏らししてしまった。
最後の最後ということで、随所から痺れるほど伝わる気迫。
特に、シリーズ…というかアニメ史でも屈指の描き込みを見せるライダーvsセイバー戦は芸術の域。これは映画館か、せめてBDで観ないと失礼だったかも(今回はDVDでした)。スタッフ何人か聖杯に捧げてるでしょうこれ。
パワーが規格外なセイバーに対して、機動力や魔眼で翻弄しつつ一瞬の好機を作る。それを担うのが、シリーズを通してひたすら序盤の敗け役だったライダーだというのが熱いじゃあないか。
セイバーの最後のセリフもね…あのたった一言で10年分の重みを再現しつつ、今作における士郎の「覚悟の違い」を演出するという…フフ…なんだかんだお前らのこと、ちょっと好きだったのかも、なんて思ったりしたぜ…
とはいえ、終盤の展開には多少の疑問がなくもない。
桜と士郎の対峙はクライマックスの2ステージくらい前に終わって、そこで桜は前線から退場となってしまう。前章からあくまで「桜だけの正義の味方になる」というのがテーマと思って観ている身からすると、なんだかピークがズレたような感覚があるのだ。
やがて野郎二人の殴り合いが始まったとき、わたしは洗濯物をたたみ始めていた。
アイテムや設定の後出し・駆け足感も、今作に限ったことではないけれどまあまあ、まあ、という感じ。
「…バカにして!」「ずるい」
これは、なんかピカピカ光る剣を持つや威勢よくマウント散らかす凛に対して桜が口にした台詞だが、わたしも驚くほど同じ感情であった。
このへんは、きっと履修が及んでいない同バースの別作品だったり、原作の内容等々だったりするのだろうなと心の中でギャップを埋め立てる。(さすがに、マキリ・ゾォルケンて!は笑ってもいいのですか?)
そんな文句を言いつつ、上述のようにエピローグはこれ以上のものがないと思う。
ああ、桜のその一言を、誰もがずっとずっと聞きたかったよねと心から思えるはず。そこへAimerの『春はゆく』が被さり始める間合いがまたもう完璧なのだよなあ。
罪の意識で潰されるのは逃げ…彼らが選択の末にたどり着いた強さ、本当の春の訪れを祝福したい。