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“隠れビッチ”やってました。のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.6
26歳の独身女・ひろみ(佐久間由依)の趣味&特技は異性にモテること。
絶妙のタイミングでのスキンシップや会話術で相手を翻弄し、「好きです」と告白させたら即フェイドアウト。
そんなひろみに、シェアハウス仲間のコジ(村上虹郎)と彩(大後寿々子)は呆れ顔で「最低の“隠れビッチ"ね! 」とたしなめるも、彼女の耳には届かない。
ある日、ひろみは職場で気になるお相手・安藤(小関裕太)に出会い付き合うことになるも、安藤の浮気疑惑が発覚し数年ぶりの負け試合。さらに安藤を本気で好きになっていたことに気づき、ショックを受ける。
やけ酒をあおり酔いつぶれているところを、同じ職場の三沢(森山未来)に目撃され、すっかり醜態をさらしてしまう。
ひろみは“隠れビッチ"だということを打ち明け、三沢がひろみに告白しキスし驚いたひろみが「責任取ってちゃんと幸せにしろ」と勢いで言ってしまい三沢と同棲することになる。
だが、三沢がひろみから頼まれた買い物を忘れたり、一緒に夕食を食べる約束を仕事でドタキャンしたことにひろみが激怒して、三沢に暴力をふるってしまう。
久しぶりに母親から連絡があって、自分や母親に暴力を振るった父親がガンで入院したので健保申請に父親のサインが必要なので面会に行って欲しいと頼まれた。父親の字が、自分と同じで、三沢へのキレ方が父親にそっくりであることに気づいて、虐待されたトラウマがフラッシュバックしてしまう。
自分や母親から封印してきた過去と向き合い始める。 本当のしあわせに気づいた時、彼女が出した答えとは…。
あらいぴろよの同名コミックエッセイを、映画化。
異性の前では、「服や言動でいかにスキを演出して見せるか」を考えて相手を好きにさせて、相手が告白したらフェイドアウトし、男にチヤホヤさせることが得意で、家ではガサツでだらしない酒乱。
下手すると、映画の冒頭から嫌われるリスクがある「ひろみ」というヒロインを、佐久間由依という清楚系もサバサバ系両方ともハマる女優が演じた時点で、すでにこの映画の成功は約束されたも同然。
前半部分は、ひろみが様々な男を惚れさせて自分の自尊心をチャージするデートシーンなどを、三木康一郎監督お得意のラブコメディのライトなタッチで描き、職場で出会い付き合うことになる安藤に自分の素を見せられないことや自分から告白出来ないことそして自分のみっともないところやコンプレックスを受け入れてくれる三沢に完璧な愛を求めてしまい依存してしまうひろみの闇が幼い頃の虐待されたトラウマに関係していたことが炙り出され、三沢との関係を修復するために自分と向き合おうとする展開は、ひろみの苦悩や成長を佐久間由依が体当たりで演じていて、痛切だった。
エンディングの後のラストは、ひろみの闇の根源である「自尊心を満たす方法に男性からチヤホヤさせることを選んでしまう」が解決途上であることを感じさせるものがありゾクってしたが、女性の生きづらさを赤裸々に描いたヒューマンドラマ映画に仕上がっていた。
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