Oto

ロマンスドールのOtoのレビュー・感想・評価

ロマンスドール(2019年製作の映画)
3.9
奇を衒った映画を想像していたらかなりオーソドックスで驚いたけど、自分の物語だと感じられるくらいのリアリティ。

序盤はきたろうさんのシチュエーションコントがバッチリはまっている。笑いの取り方はベタだけどなかなか特殊な環境なので新鮮に楽しい。逆光の照明、特に工場が美しい。フィルムの味が出てる。
中盤は園子の不在から問題が明かされた時に、かなり型にはまった映画になったなぁと思ってしまったけど、二人の抱えている問題が最近の自分と重なりすぎて刺さった。離婚協議の”なんでも言い合える夫婦”、浮気後の三浦透子さんの台詞、病室での子供に関する会話など、とにかくセリフが素晴らしい。隠したくないし与えたいなぁと思う。
終盤は見事、”作る”というまさにこの映画が作られた意味を体現していて、ドールとの見せ場の演出が特にすごい(手、涙、声…)。中盤の問題が必要だったと感じられたけどやはり病気ではない彼女自身から生まれた問題がみたいと思ってしまった。

全体を通して印象的な台詞が多かったし芝居もさすが。自分は絶対作らないだろうけど、カット割りとか編集とかは教科書のようで勉強になる。切り返しはリアクションを見せる、暗転明けはフェードしない、冗長な部分のカット。音楽の選曲とタイミング、ピエール瀧さんのメタなギャグも良かった。
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