回想シーンでご飯3杯いける

ロマンスドールの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ロマンスドール(2019年製作の映画)
3.4
ラブドール作りの職人と、騙されておっぱいの型取りのアルバイトをやらされた女性が結婚する話。まず、思ったのが、こういう特殊な職業や設定を取り入れながら、割と真っ当な映画に仕上がっていて、良い意味で日本離れしていると感じた。

頭に浮かんだのが、是枝監督の「空気人形」で、あれも日本離れした作品だったし、他に浮かんだのは「ラースと、その彼女」や、先日観たばかりの「マーウェン」とか。人形をモチーフに取り入れる事で、人間同士の関係を比喩的にあぶり出していく感じがとても良いし、こういう表現は職業やアイテムに対する偏見があると上手く機能しない。そういう意味で、殻を破る作品が日本から生まれるのは良い事だと思う。

ただ、設定やストーリーは面白いものの、2人の出会いや、浮気の原因など、ややあっさりしすぎている感があるし、後半に2人が味わう苦悩もやや薄口の描写に思える。きたろう、渡辺えり、ピエール瀧等の脇役がドラマとしての豊かさを醸成しているが、メインの2人の心情は、正直分かり難かった。

ラストに哲雄がつぶやく園子の魅力。あれは、他者には分からない苦楽を共にした男だからこそ面白みがある台詞で、今作の薄口な描写では、文字面通り、女性をセックスの対象としてしか捉えていないように感じられて、少しもったいない気がした。