ももいろりんご

イン・ザ・ハイツのももいろりんごのレビュー・感想・評価

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)
3.7
熱風で息も苦しい夏の日差しの中。娘と観に出かけたよ。かき氷のせい?夏が似合う映画。
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 =STORY=
舞台はマンハッタン北西部、ワシントンハイツ。ドミニカ、プエルトリコ、キューバなど様々な国出身の人々が暮らす、移民の町だ。
ドミニカ系移民のウスナビは両親の遺した雑貨店を従弟のソニーとともに切り盛りしているが、ドミニカで暮らす夢を持っていた。仲間のベニーはタクシー会社の配車係、社長の娘ニーナが好き。その彼女はこの街から有名大学に進学した街の誇りだ。ウスナビが想いを寄せるヴァネッサはネイリストをしながら、ファッションデザイナーを目指し、この街を出ようとしていた。
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いつも音楽が流れるこの街は、彼らの生まれ故郷。でも親世代が夢見ていた時代と違い、物価の高騰や、移民というだけで立ちはだかる様々な制約に皆が喘いでいた。いろいろな意味で彼らの居場所がなくなりつつあり、その夏、連日の猛暑が続き電力不足で起こった大停電。混乱と不安が街を襲い、その日を境に皆の心が気力を失ってしまったかのようにみえた。
ウスナビとヴァネッサ、ベニーとニーナ、彼らの夢と恋の行方は?彼らの求める居場所とはどこにあるのか。
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ラテンの音楽とダンス!ダンス!ダンス!心が高揚します。ダンス好きは堪らない♪
普通の会話シーンは少なく、ほぼ音楽に絡めたラップで説明や会話が進みます。これで全編通すの!?っと驚いたし、苦手に感じる人もいるだろうけれど、でも彼らの生活はリズムとともにある、それが当たり前に思えてくる。
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どのダンスシーンも圧巻!大好き。その中でもお気に入りはクラブのシーン。昔、ちょこっとだけ、社交ダンスをかじったときを思い出した。ラテンって情熱的。心と血が沸騰しないとあぁは踊れないって思う。
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オリジナルは舞台ミュージカルということもあってか、ドラマとしてはメリハリ難しいのと、長いのでやや冗長気味。パフォーマンスで底抜けの明るさが目立ちますが、暗部も見せています。街が変貌していく理由、大学に進んだニーナの孤独、ウスナビの従弟・ソニーの将来へ苦悩と落胆…言語や教育の問題、いかに彼らがアメリカ社会の楚になろうともがき、親や家族を思っているか。
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アブエラ。”街の母”である彼女の歌にはその人生の深みがあり感動!帰れぬ故郷や家族への追想、そして忍耐と信仰…「小さなことで尊厳が守れる」と伝統工芸の刺繍のナプキンを大切にしていた姿。胸にグッときた。
美容室の女子3人が、元気でカッコ良かった!
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旗を掲げよう!望郷と今を生きる「誇り」を。
世知辛い世の中で誰もが懸命に生きている、ここが故郷、ワシントンハイツ!