しゅんまつもと

イン・ザ・ハイツのしゅんまつもとのレビュー・感想・評価

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)
5.0
あまりにも凄すぎて放心状態なので細かいことは後で。問答無用の今年ベスト更新です。

自分が映画のなかに見たいものが全部入ってた。
身体的躍動と知恵と連帯と嘘と希望と予感。これがあれば良い。というかこれしかないと思っちゃう。
移民で構成され地価高騰の進みつつあるワシントンハイツから切り取ったアメリカ。しかもそれをミュージカルという形式で切り取る、というだけでも語り甲斐があるのに音楽での表現(単純なR&B、サルサではなく各々がミックスされ昇華された超高水準の曲たち、なおかつポップスであるということの凄さ)、衣装での表現(ラストにバネッサが辿り着く、これぞ!なアイデア)でも完全に現代の、次世代の表現としてのミュージカルになっている。凄すぎる。本当に凄すぎる。冗談抜きに、世界的な興行という面でもトップに立つべき映画だと思う。わりとガラガラな映画館で思った。ひたすらタイミングが悔やまれる。

また移民の中での世代の違いによる異なる視座を描いているのにも注目したい。一世が持っていた夢と味わった苦痛。二世の閉塞感と自由。そしてその先の世代にのしかかる負の遺産と、まだ見ぬ希望。この映画のラストカットが誰のどんな目線で終わっていくのか、どうか多くの人にその目で見てほしい。ここから世界は変わっていくと自分も信じたい。