Koshii

イン・ザ・ハイツのKoshiiのレビュー・感想・評価

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)
3.8
《求めていたのは、こんなパワフルな映画だった!!》


仕事を求めてニューヨークにやってきた移民たち。彼らの胸の中にはたくさんの夢が詰まっていた。今を懸命に、そして明るく生きる彼らの人生を音楽に乗せ、熱い想いを響かせる!!


ハイツで生活する一人一人にフォーカスを当て、日々生きるために彼らが闘う姿を描く。彼らには皆、胸の中に秘める夢があった。夢を叶える事がすでに過去になってしまった者、現在進行形の者、未来に託した者。それでも夢を持っていることには変わりなく、それは人生の原動力になる。熱いビートと共に夢を刻み、力強く生きる彼らに元気をもらえるエネルギッシュな作品でした。


以下、ネタバレや感想を含みます。












音楽は偉大だと再認識できる素晴らしい作品だった。逆境を乗り越えるときや、嬉しさを表現するとき、音楽の力があればいつだって心は広くなる。

本作で特徴的だったのは、曲調と声質でしっかりとそれぞれの人生を描き分けていた事だ。彼らの人生が交わるとき、音楽は重なり合う。また、その構成がミュージカルをメインとしているため、音楽の流れないシーンでの「時間の流れ」に敏感になる。

従来の映画とは逆のメリハリをつける事で、疾走感がありながらも重たいシーンをしっかりと用意できている点が素晴らしく、鑑賞者を惹きつける要素となっているのだろう。


そして、本作で大好きなキャラクターがアブエラだ。彼女の、小さな幸せを大事にする精神が優しく、皆んなを包む大きな愛が素晴らしい。レコードの音飛びする所がお気に入りというセリフに彼女の生き方が詰まっているようなそんな気がした。


さらに好きなのは、ウスナビが「僕には皆んなが必要だ。」というセリフ。彼が街を出て行くのを止めるときに放つセリフなのだが、とても親切な彼を象徴する印象的なフレーズである。残されたバネッサやソニーからすれば、必要なのはウスナビであり、彼が残ってくれれば自分たちの夢を叶えられる気がしていたに違いない。そんなバネッサとソニーが言いたいセリフを、ウスナビが言ってしまえるところに感動した。

そうして、彼の故郷はワシントンハイツにかわり、小さな夢を見守ることが夢になる。バネッサとの間の娘に、アブエラの精神と彼の夢、そしてハンチング帽が託されるのである。


🎵サントラトラ Piragua
Koshii

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