アネモネ

イン・ザ・ハイツのアネモネのレビュー・感想・評価

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)
4.0
社会勉強を全くしていない私はワシントンハイツの事はほとんど知りませんでした。
また映画で知る世界。

日本人の私には意識が薄い「移民」という存在ですが、色んな映画を観るたびに色んなニュースに触れるたびにリアルに胸に刺さる現状があります。
異国へ渡るだけでも大変なこと。
そのうえ家族をかかえて一から始める苦労は想像なんかじゃわからない。
より良い未来を夢みて、
祖国を想い仲間を想い、手を取り合って必死に暮らしてきた方々の姿は、いつどんな映画を観ても心を打たれる。
それが全て歌によって表現されるから、観客の心の芯にまで入ってくるように思います。

ニーナちゃんの深い傷は観ていて辛い。
一方でウスナビの気持ちも強く伝わる。
悲しみも楽しさも含め、この環境の中でも生きる希望を見つけようとする姿が、歌とダンスによって涙させられるし笑顔にもさせてくれます。


大人数でのダンスシーンは圧巻!
涙が自然に溢れてきます。

世界中で起こっている格差問題。
それに加え差別とも戦わないといけない大変さ。
ふと20年前、911で心に傷を負ってブルックリンから帰ってきた友人を思い出しました。
よく一緒にいてあてもなくドライブに付き合ったりしたけれど、幼すぎた私は彼の傷にちゃんと寄り添えてあげれただろうかと思うと、今ほど現実的に深く受け止めていなかったかもしれない。
ずっと心にひっかかっていて反省しています。



改めて
歌とダンスで表現するミュージカルって凄い芸術だと思います。
ウスナビとニーナが
ワシントンハイツの住人が
今、少しでも幸せな笑顔が増えていますように。

けど、現実の世界は格差が広がり分断と差別が無くならない。
塞ぎ込む前に、素敵なラテンの感覚を見習えたらとも思う。
そして日本の今の入管やアフガニスタンの現状に強く憤りを感じます。
少しでも手を差し伸べられる寄り添える人間でありたいと、心から思いました。








公開すぐの地元映画館レイトショー。
私1人だったんですけど!
もう!田舎者こそ高校生の非現実恋愛映画よりもこういう映画をちゃんと観ろ!!
アネモネ

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