Yuya

ある船頭の話のYuyaのレビュー・感想・評価

ある船頭の話(2019年製作の映画)
3.9
正直 想像以上にダークでヘヴィーな野心作

“便利でないものは みな消える”という周知の概念
時間の流れ 人間の流れ 大河の流れ
抗う事のできぬ無慈悲な その生業の中で
人間は 痛み 苦しみ 憎しみ 穢れてゆくしかないのだろうか…

うーん 答えは安易には導けないし
そもそも正解など存在しないのかもしれないけど
自分としてはどっかでトイチの目線の低さに
憧れというか共感を覚えてしまうんだな
時流や世俗を流麗に着こなし
生きる行為の垢を器用に隠しては
物事や互いの外面の美だけを見つめて
なんとなく誤魔化して取り繕うより
生きる行為の恥を認め 曝け出し
精一杯ぶつかり合っては 共に痛みを庇い合い
共有できる癒しの道を模索する方が
まだ なんとか 人間でやっていける気がする

主演俳優や監督の言葉通り 昨今の主流とは一線を画し
決してヒットを望めるものではない代物だが
こうして名優や経験豊富なスタッフが集い ドイルのレンズ越しに かつて見ぬ日本が映り
その演技 景色 一音にまで 神経を尖らせる映画体験には
そうそう 味わえるものではない贅沢さがあったなぁ