シネマ小僧

ある船頭の話のシネマ小僧のレビュー・感想・評価

ある船頭の話(2019年製作の映画)
2.5
その昔、シネセゾンで上映されるインディペンデント作品を好んで見た記憶が蘇る。オダギリジョー監督の作品にはそんな懐かしさがあった。商業的にはヒットしなくとも、映画とは何ぞや?映画監督とは何ぞや?そんな思いを突き付けられた気がする。例えば1970年代のNHK土曜ドラマ群、早坂暁さん、山田太一さんが作り出す物語たちが好きでした。私もまだ若かったのでドンドン吸収できました。あれから月日が流れ、感性も鈍くなり、鑑賞する作品は娯楽作品を好むようになる。加齢した脳にはハリウッド的な娯楽が気持ち良いのかもしれない。その退化しつつある脳で本作を評価すると退屈でした。監督の言わんとする事は理解できますが、今の私には「う~ん」って感じです。船頭ですからお客さんである登場人物が多いということは、それだけの人生模様があるわけです。本作は船頭である主人公の人生をフォーカスして物語として紡いでいますが「ボヤケていた」と思います。演出には問題はなく、問題は脚本が練れていないことに付きます。偉そうな事を言って申し訳ないです。ただ一つ本作に光があるとすれば、細野晴臣さんが演じるマタギの死についての見せ場、これだけで映画一本が撮れます。船頭ではなく「あるマタギの話」で映画を見たかったです。音楽、映像は最高です。まだ各地に残る日本の自然の美しさをフィルムに残したことは称賛に値するでしょう。