エマ・ストーン目当てで鑑賞。
題材が黒人差別ということで、かなり重い内容かなと予想していたら、割とユーモアの部分も多めで良かった。
様々な映画でアメリカ南部の黒人差別問題は題材になっているが、黒人女性のメイド視点というのは初めて。
KKKによる黒人殺害などは台詞で語るに留まっているが、その恐怖は女優陣の演技で痛烈に伝わってくる。
やっぱり、こういう映画見るとアメリカが世界のリーダーやってていいのかな?という気持ちになる。
つい、この間までこんなクソみたいな差別が平然と行われていたわけで。
まぁ、それは良いとして。
こういうテーマが前面に出てくる映画は、見終わった後にずしーんと来ますね。
ただ、脚本の部分で少し気になった点があります。
①主役のエマ・ストーンが成長しない。
エマ・ストーンは最初から良いやつで、常に一貫してる。
だから、この映画を観て「これは俺の私の映画だ!」と思った人はいなかったのではないでしょうか。
定石としては、周囲の環境に自分の意思が曲げられてしまうが、信念を持って周りから何を言われようと闘う。みたいなかんじでしょうか。
こうすれば、会社で自分は正しいことをしてるのに上司に潰されて鬱屈してる人とか「これは俺の映画だ!!」
ってなると思うんですけどね。
②主人公は特に何もしない
2時間20分の映画なのに、主人公は特に何も行動しないんです。
最初のインタビューをお願いするところだけ。
あとは、メイドさんが勝手に集まり、それを聞いて紙に起こすだけ。
だから、ストーリーに動きがない。
③そもそも主人公はエマ・ストーンではない
この映画の主人公は最初にインタビューに応じていた二人の黒人女性です。
明らかに成長してるのは彼女たちです。
勇気を出して行動して自分達の置かれている不条理な環境を告白する女性と、それをインタビューするジャーナリスト志望の女性。
この映画を観たことない人に「どっちが主人公?」って聞けば、100%前者を選ぶでしょう。
別に主人公が成長することが映画にとってマストではありません。アメリカンニューシネマの主人公は成長したいことがテーマと密接に関係していたりする例もありますし。
ただ、この映画においては違う気がする。
黒人女性は成長しているが、あまりにも短絡的で決意の演習が弱い。
牧師さんの話を聞いて「やります」では葛藤とは言えない。
この映画を観て、「勉強になった」「差別って最悪」「エマストーン可愛い」などの感想を持った人が大半でしょう。
しかし、オールタイムベストに選ぶ人はいないのでは?
しみじみ、この映画を観て、主人公の成長は必要なんだなと実感しました。