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ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜のleylaのレビュー・感想・評価

3.7
途中で前に観たことに気付きました。黒人差別を扱いながらも文部省推薦的なハートウォーミングな作品だと思います。黒人差別問題を重くなくヒューマンドラマとして楽しめます。

南部の上流階級に生まれた作家志望のスキーター(エマ・ストーン)が、白人によるメイドたちの扱いに疑問を感じ、メイドたちの声を集めて1冊の本にし、街を改革しようという物語。暴露本みたいな本ですね。

高評価な作品ですが、黒人差別をテーマにしている作品は多々あるのと、再鑑賞のため評価が厳しくなってしまいます。

今作を好きな方はネガティブな感想となるため、以下👇スルーしてください。







これが実話なら評価は全然変わったと思いますが…
実話のようで実話でないところが、余計にハリウッドテイストの作り物っぽさを感じてしまいました。

メイド×裕福な奥様、という視点でほぼ女性しか出てこないのは新鮮です。男性の世界だと、暴力や肉体労働もさらに酷いはずだし、メイドと子供の関わりは温かみがありました。

メイドに酷くあたっているのは、結局はヒリーという女性1人だけ。彼女1人がヒール役です。彼女は肌の色に関係なく、誰かを虐めてしまう性格。こういう人格の人がどうすれば変われるのかを描く方が大切な気がします。

意地悪をし続ける彼女に、メイドが「疲れるでしょ?」と声をかけるのはいいシーンでした。ヒリーの内面をもっと深掘りして欲しかった。

ウンコ入りパイのエピソードを最後まで引っ張っていたけど、笑えないし、本に載せたら黒人の立場を下げるのでは?ちょっとシラける内容でした。

賃金が安い割にメイドたちの私服が洒落ていて貧乏には見えなかったり、エマ・ストーン演じる主人公が簡単に本を出版できたり、NYの出版社に就職したり、安易でリアリティを感じない。むしろ白人のサクセスストーリーを観ているような。

きれいにまとまりすぎてメッセージに対する印象が薄まっている気がしました。

俳優たちの演技は素晴らしかったです。
似た作品であれば『グリーンブック』『ROMA』『ロング・ウォーク・ホーム』の方が断然好きです。

今作の裏話がよかったです。
原作者と監督は南部出身の幼なじみ。原作者はこの本を5年かけて書き上げたものの、60人のエージェントに断られたそう。
監督は自分が必ず映画化するからと、彼女を励まし続けたので諦めずに出版できたといいます。
結果、ニューヨークタイムズ誌で売上1位を獲得、映画も大ヒットしました。
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