アリスinムビチケ図鑑

ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜のアリスinムビチケ図鑑のレビュー・感想・評価

4.3
古くから奴隷制度が色濃く根付くアメリカ南部ミシシッピー州ジャクソンと言う田舎町を舞台にした人権問題をテーマに描かれたヒューマンドラマです。

登場人物はメイドとその主人に当たる女性達がメインで、
その理不尽さの現実に、勇気を出して執筆(本の出版)と言う形で声を上げようと頑張る新人記者のスキーター(エマ・ストーン)と、
実際に理不尽な扱いをされていたメイドのエイビリーンと、ミニー、そして沢山のメイド達の勇気の声の話しです。

人権問題(人種差別)をテーマにした映画は、デトロイト、それでも夜は明ける、リンカーン、サバー・ビコン など、上げ始めたらキリがないくらいあります。

この映画は過激な描写で訴え掛けるのでは無く、
彼女達の生活が等身大の表現で映し出されていて、共感や感動、笑ってしまう様なシーンや、スカッとするシーンもありアカデミー賞などの賞を取るのも納得出来る素晴らしい作品でした。(作品賞ではなかったですが)

出演者がまた豪華で、
『ララランド』の『エマ・ストーン』が主演、
メイド役に 『フェンス』の 『ヴィオラ・デイヴィス』、『ドリーム』の 『オクタヴィア・スペンサー』
その他出演者に、『女神の見えざる手』『モリーズゲーム』の『ジェシカ・チャステイン』
ジュラシック・ワールド』の『ブライス・ダラス・ハワード』
『アイ、トーニャ』で強烈な母親役を演じた『アリソン・ジャニー』等がいます。

"黒人女性は、望む望まないに関わらず、
将来はメイドとして働く。"

"自分の子供を預けて、白人の子供を何人も育てる。"

"白人の子は子供の頃は可愛くても、大人になると母親にそっくりになってメイドとして自分達を使う。"

冒頭や劇中のインタビューでの台詞に黒人女性の悲哀と言うか、
辛い現実が集約されている様に感じて、
哀しい気持ちになります。

肌の色や言葉の違いなんて取るに足らない事なのに…

全ての人に観てもらい、人としての在り方を考えて欲しい、
そんな感じの素晴らしい映画でした。