まお

ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜のまおのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

舞台は、1960年代。黒人差別が当たり前のミシシッピ州では、多くの黒人の女性たちがお手伝いさん(ヘルプ)として白人の家に仕えており、人種隔離法(ちょっと名前違ったかも)という法律のもと、当たり前のように蔑まれ、見下され、まるで白人の所有物かのように扱われていた…。

黒人差別を扱う映画は山ほどありますが、このように出演者のほとんどが女性というのは初めて観ました。

女性の視点から描かれる差別は、暴力だけでなく、言葉や態度から滲み出る陰湿さにあり、女性特有の嫌がらせ等には見ていて怒りを覚えずにはいられません。ぶん殴りたくなってきます。

最近までと言っても過言ではないほど、黒人に対する差別は根強く続いていた訳であり、未だにその名残があるのですから、本当に恐ろしく、どうして同じ人間なのにこのような不当が許されたのかとても悲しくなりました。

特に印象深いシーンは、黒人女性の苦しみを本にしようと奮闘する主人公の白人女性スキータの家で、昔雇っていた黒人女性コンスタンティンが、なぜ母親のように慕っていたスキータに何も言わず出ていったのか、スキータの母親の口から明かされたシーン。

回想シーンにて、母親に出ていけと言われ、コンスタンティンが家のドアから締め出される際の、あの何か言いたげな、とても、とても悲しそうなあの表情は、彼女がどれだけ辛かったか、どれだけ悲しかったかが、言葉無くとも押し寄せるように私の心に突き刺さり、またスキータの身長を小さい頃から家の柱に印を付けていたんでしょうね、それをコンスタンティンが指でなぞるシーンではもう、涙の畳み掛け!号泣するしかありませんでした。

あれだけの少ないシーンであそこまで表現できるって…あの女優さんは誰なんだ!?笑

最終的には、黒人女性たちの苦しみを暴露した本「ヘルプ」は出版され、世に黒人差別の現状を知らしめた訳ですが、やはり本1冊では世の中が変わるはずもなく…。

終盤、スキータ以外のもう1人の主人公であり、暴露本の執筆に最初に協力したお手伝いの1人であるエイビーンが、ヒリーに泥棒の疑惑をわざとかけられ、仕事をクビになってしまいます。要は復習された訳です。まあそうなるよなぁ〜とは思いましたが、観ていて腹の虫が収まりまらず…。

しかし、勇気を出して告発をしたエイビーンの表情は、希望も何も無かった前とは打って変わり、これは「勝利の証だ」というエンディング曲と共に伺えるのは、大きな勇気を出した彼女にもう怖いものはなく、この先彼女は自分を恥じることなく、堂々と生きていくのであろう強さでした!

本作は、黒人女性たちが自分たちの仕事と生き方に誇りを持ち、大いなる勇気を持つことができるまでのお話、多くの人に観て欲しい一作です。
まお

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