Benito

つつんで、ひらいてのBenitoのレビュー・感想・評価

つつんで、ひらいて(2019年製作の映画)
3.5
【 ジャケ買いしたくなる本って、いいね】

書店で本の装幀に惹かれて、手に取った事が何度もあった記憶。中身は読んでないのに、表紙が気に入って飾ったり棚に残す本があったりする。

この映画は、そんな気になる装幀を仕掛けてきた菊地信義(2022年3月28日に78歳で亡くなった)の制作現場を捉えたドキュメンタリー。

装幀家 菊地信義のデザインには、俵万智「サラダ記念日」から、大江健三郎「静かな生活」、金原ひとみ「アッシュベイビー」、浅田次郎まであって作家のバリエーションも凄い。40年以上のキャリアと1万5千冊以上もの本を手掛けているというから、更に凄い。その仕事場を見せたり、結構細かく印刷チェックしてるとことか、製本段階の工程も見せたり、拘るクリエイターの現場をなかなか見れることはない。とっても貴重な作品。

他に、製作現場の窓の位置、木々、猫が印象的。透明紙についてや、フランスの哲学者:モーリス・ブランショやフランス女流作家: マルグリット・デュラスの事も語りに出てきてた。制作におけるインスピレーションも色々あったんだな、と思う。

リアルで手にする事ができる本やレコードのジャケ買いには、センスと情熱溢れるデザイナーがいて、本の楽しみ方を増やしてくれる。菊地信義さん、ありがとう。
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