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つつんで、ひらいてのべーすべーすのレビュー・感想・評価

つつんで、ひらいて(2019年製作の映画)
3.7
本作のドキュメンタリーは装幀家の仕事だけでなく、デザインの本質ついて学ぶことができる作品。📚
この作品で密着を受けていたこの菊池信義さんは、本づくり(装幀)に本気で向き合う。
当たり前だけどこんなにも細かくこだわって作っているなんてとても刺激的でした。

本のデザインは言語の物質化。
物語や思想をどうやってカタチにするか。
カタチから物語をどうやって伝えるか。

本を手に取れば目から見るテキストだけでなく、材質や手触りから触覚までも刺激される。それもまた情報なのだ。だからといってデザインに囚われ過ぎて仕舞えば本の作品と調和するとも限らない。
本の内容よりも、魅力に溢れた本のカタチから手に取り買って読むこともあるはず。そのカタチから物語がリンクしていくこともある。一冊が何千人も手に取ることになる。そこまで些細なこだわりに気づいてくれる人はきっと何人もいない。それでも、そんな一筋の光のようにきっかけとなる入り口作りをするのが装幀家の仕事なのだと。
なんだか偉ぶる先生という訳でもなく、ただただ純粋に装幀の仕事に全てを捧げている方なのだと感じました。

また、パンフレットがめちゃめちゃかっこいい。それもそのはずでこの菊池信義さんと弟子の水戸部功さんがデザインされていました。このタイトルに合わせ、あえてタイトルが見えないように包まれている。また複数の紙質が使われていて本作とマッチしている。こんなすごい不思議なパンフレット見たことありませんし、今年一番かっこいいパンフレットだと思います!!