てんやもん太郎

つつんで、ひらいてのてんやもん太郎のレビュー・感想・評価

つつんで、ひらいて(2019年製作の映画)
3.2
『こしらえる』
っていい言葉だな。
『つくる』は個人でも出来るけど、『こしらえる』は相手のためである。
あー、まさしくそうだなぁ。

本が出来上がるまでに、こんなにたくさんの人の思いが詰まっているか。
文章が出来上がってそれで、完成ではないんだなぁ。

製本に関わるたくさんの人の『手』のアップが映る。
造形がそれぞれなのは当然なのだけど、
手の動きで、その人の気持ち、人間性が浮き上がってくるんだな。

手は口ほどにモノを言うなぁ。

弟子の方が、師匠がデザインした本を触っていた時、
師匠に対する敬意が手からひしひしと伝わってきたのが印象的だった。

本をめくったり、触ったりする、音がとても心地よかった。
ドキュメンタリーなら家で観てもいいような気がしたけど、
この音を楽しむには、映画館だな。

ドキュメンタリーの面白さと、難しさを感じた。
監督の立ち位置がとても難しいな。
自分にはこうみえたみたいなのが強いと絶対うっとおしいし、
かといって、ただありのままそのままでは、少し面白みに欠けるような気もする。
対象となるものとの距離の取り方、関わり方が難しい。
今回のはとても誠実で丁寧だけれど、何か物足りない気がする。
中途半端に控えめだったのかな、、、