80年代に大ヒットした2作の直接的な続篇ということで、旧シリーズの登場人物達からの世代交代と継承を脚本の軸にしつつ、初期2作の綺羅びやかなニューヨークからオクラホマ州の片田舎へ舞台を移してのコンパクトな物語になっている。
シリーズの特徴だったコメディタッチはかなり抑えめになっていて、良くも悪くも映画全体のトーンが旧シリーズから大きく変化している。
個人的には、脚本の現代的なアップデートは歓迎しつつも、このシリーズ特有の気楽なノリはしっかり残っていて欲しかったので、それを少しだけ寂しく感じた。
劇中に登場するゴースト達のVFXに関して、80年代の技術発展途上だった時代の質感をあえて再現しているところは、懐かしさもあいまってとても微笑ましかった。
旧シリーズを観たことがない若い世代には、そのオマージュの意味が伝わらず安っぽく見えてしまうかも? とも思ったけれど…
キャリー・クーンやポール・ラッドといった大人役の俳優たちの役作りはもちろん良かったが、子役俳優たちの表情や佇まいがとても瑞々しく、ジュヴナイル映画的な輝きがあり、清々しい読後感が残る。
主演のマッケナ・グレイスは既に次代のスーパースターになりそうな存在感があり、そのお兄さん役のフィン・ウルフハードの憎めないナヨナヨ感も微笑ましく、どちらも間違いなく素晴らしい俳優だと感じた。
このシリーズのファン (自分もそのひとり) であればあるほど、旧シリーズの主役達やキャラクター達はいつ出てくるのだろうと期待しながら鑑賞することになると思うが、それにしっかり応えてくれる展開が終盤にあり、ファンにとってはメタ的な驚きもそこに加味されて、とても熱い演出だった。
何よりも、旧シリーズの監督を担ったアイヴァン・ライトマンが製作に関わった最後の作品 (遺作) であること、そしてその息子のジェイソン・ライトマンが先代の想いを受け継ぎ、かつ先代とは違うオリジナルな作風も組み込みながら、この続篇の監督を継承してくれたことが、ファンの自分にとってはしみじみと嬉しい。
世代を越えた継承が物語のテーマともリンクしているからこそ、その演出にも体重が乗り、良作になり得たのだろうと思う。
2024年に公開予定のシリーズ最新作では、今作のようなしんみりの繰り返しではなく良い意味での気楽で痛快な物語が戻ってくることを、楽しみに待ちたい。
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