竹野康治郎

閉鎖病棟ーそれぞれの朝ーの竹野康治郎のレビュー・感想・評価

閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー(2019年製作の映画)
3.8
帚木蓬生の山本周五郎賞受賞作『閉鎖病棟』が原作の作品です。原作は読んでいません。精神科病院を舞台にした作品です。とにかく重たく、一概にすべてが救われているわけではないです。それでも朝は来るし、その捉え方は人ぞれぞの中で違ってくると感じる。

冒頭のモノクロシーンから妙に胸のざわつきがある感じでした。そして雰囲気の違う病院から物語がスタートしていきます。実際に長野県にある病院で院内の撮影が行われたこともあり独特な空気がずっと流れます。どういった物語が始まっていくのか、予想もつかなかったです。精神科病院にて鶴瓶さん、綾野剛さん、小松奈々さんの3人の群像劇であり、今と過去の切り分けや出し方は徐々に「3人がそれぞれ事情を抱えている」ことが明らかになっていきます。宮本君から君へは全編ハイテンション全開だが、これはその逆をいっている。心の中の叫びをずっと胸に閉じ込めているが、3人の演技が凄すぎて、それを感じることが出来ます。

家族に見放され、世の中からも変わった目で見られる彼らの居場所と繋がりには心を突き刺さるものがあります。とても心にズシンとくる作品ですが、もう一度言います。重たい作品です。是非とも劇場にてご覧いただければと思います。


2019年公開作品  125本目
竹野康治郎

竹野康治郎