マーティンルイス

メトロポリスのマーティンルイスのレビュー・感想・評価

メトロポリス(1927年製作の映画)
4.9
無声映画による至高の芸術作品

身分差別を色濃く描きながらも、SF要素を盛り込んだストーリーに圧倒される。「ブレードランナー」や「スターウォーズ」、最近だと「MADGOD」などにもオマージュされており、この映画無くして今のSFはないだろう。
今作の機械たちは、資本主義の可視化であり、神に近い存在でもあると感じた。実際、作中にて主人公が地下機械をモロク神(生贄を捧げられた神)と錯覚するシーンがある。映画が進むにつれ、本当の機械の奴隷とは誰かや、現代と共通した問題について考えさせられた。
また、”少数者の喜びは多数者の呪い”という言葉通り、自国第一主義や自分勝手さが多くの者に災いをもたらす。”手と頭は互いに思いやりを持つことで理解し合える”という言葉こそ答えであり、これからの世界や人の在り方を表現しているように感じ、忘れてはならない今作のラストに感動した。
ストーリーの出来栄は去ることながら、平和の在り方や発展する技術との関わり方を、戦前に描いていることも感慨深い。
まさにSF映画の原点にして頂点に君臨する作品だった!
マーティンルイス

マーティンルイス