Saturday Classics
白黒映画としてかなり精巧に作られた作品。ライティングも白黒映画用に構成されているし、ディゾルブなんかも白黒ならではな部分が多い。
これが、いわゆるSF映画の飛躍を担った作品と言われるのだが、そこに凄さが見当たらない。なぜならば、これが元になった作品は無数にあり、我々は見る順番が逆になっているため、この作品に凄さを感じないのだ。
しかし、これができる以前のSF作品を見てみれば一目瞭然である。この作品を機にSF映画の歴史が変わったと言っても過言じゃないし、これ以降SFのステレオタイプは変わっていないというほど影響が大きいのだ。
テーマやストーリーなんかも現代作品に多くの影響を及ぼしているが、Fritz Langが何がすごいかって、ここまでの規模の作品を作り上げたということ。彼の頭の中にある未来の世界をドラマとしっかりと組み合わせて、実際にセットを組み、ミニチュアを作り、エキストラを1万人単位で集め、この作品を作った。
時代の流れを汲み、プロパガンダ映画として配給会社からごっそりカットされ、今となっては彼が作り上げた７時間の作品を見ることができないのだが、それでもなお語り継がれる作品。
SF映画だけではなく、フィルムでの映画の撮影の革命的作品でもあり、今でも効果的に使われているフレーミングや技法が無数にある。アイデアとしての斬新さ、ビジュアルとしての確信性がまさに名作。
