ピロシキ

メトロポリスのピロシキのレビュー・感想・評価

メトロポリス(1927年製作の映画)
5.0
約2時間半のオーケストラ版をYouTubeで観て、あやうくむせび泣きしそうになるほどに感動した。その後、京都で行われた伴奏付き上映会にも行った。全く異なるアプローチによる同作品の再現を堪能することができた(京都のほうの上映時間は100分だった)。

オーケストラに関しては、正直あおりまくる音楽に感情を弄ばれっぱなしだったので、もともとサイレント作品である「メトロポリス」そのものに対しての正当な感想は言えない。それに、フィルムの散逸によって永久に失われてしまった重要なシーンもあるだろうし、ジョルジオ・モロダー版も忘れてはならないし、はたして何をもって「完全復元」とよぶべきなのか判断しがたいというのもある。それでも、90年以上の時を超えてこの超大作を手軽に自宅でも楽しめるようになった、文明の発展に感謝。

「メトロポリス」が予見した未来とは、まさに今我々が生きている、この現代である。「頭」で考えて、「手」を動かすだけでは、人類は来たる災害や脅威に立ち向かうことはできない。大切なのはそこに「心」が宿っていることなのだ。

改めて「メトロポリス」はフリッツ・ラング作品の中でも別格・破格であるだけでなく、SFの金字塔あるいはドイツ表現主義の代表作というような言葉すらも超えたところに位置する、唯一無二の「映画」。もはや文句をつけることすらしたくない。
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