しゅう

メトロポリスのしゅうのレビュー・感想・評価

メトロポリス(1927年製作の映画)
3.7
「フリッツ・ラング監督特集」にて無声白黒字幕版を鑑賞。

一本立て興行になって初めてのシネマヴェーラ。30分前に着くと既に階段に長蛇の列で、入りきれないのではと少々焦った。

今回は148分の復元版という事だが、正直前半は非常に冗長。

無声映画故の説明的な繰り返し表現が必要なのは分かるが、トーキー時代のラング映画の素晴らしい切れ味を知っているだけに、若しかしたら(未見の)四分の一ぶった切ったという編集版の方が映画としては面白いんじゃないかなどと思ったり。

だが、その分アンドロイドマリアが登場してからの怒濤の展開には大いに満足させられた。

そもそも無声映画に於いては、淑やかな聖女マリアよりも全身を狂躁的に躍らせて上流階級を煽情し、地下労働者達を煽動するアンドロイドマリアの方がずっと魅力的なのは自明の理。

ラングお得意の群集心理で狂奔した人々がアンドロイドマリアを火刑に処するリンチシーンや、大量の水を使ったディザスタームービーとしてのスペクタクルも見事。
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