ジャイロ

メトロポリスのジャイロのレビュー・感想・評価

メトロポリス(1927年製作の映画)
4.0
DVDを再生すると淀川さんの解説から始まる

淀川長治さんの世界クラシック名画100撰集(3)

淀川さんがRKOに行ってフリッツラングと会った時の話が聞けます。

淀川さん曰く、フリッツラング監督の生涯代表の傑作。そして淀川さん大絶賛の人造人間。スターウォーズのC-3POよりもずっと綺麗、綺麗って言いまくるもんだから、ハードル上げまくりで鑑賞スタート。


そこには地下に追いやられ、機械の奴隷となって虐げられていた労働階級の人々と、それを支配する支配階級の人々が暮らすモノクロの近未来、メトロポリスの世界が広がっていました。

すごい

サイレントでこんなに骨太なSFが観られるなんて…

そしてなるほど

人造人間

その造形美!!

何号か分からないけど、試作段階でもう素晴らしい。その動きはまるで人間が中に入っているかのようだ…

劇中、思いっきりロボットって書いてあったけど、人造人間でいいんですよね淀川さん。人造人間で話を進めますよ。

調停者、バベルの塔、七つの大罪

なんだか面白いぞ

現実を目の当たりにして労働階級のことを気にかけ始める支配階級の主人公。労働階級の娘マリアとの電撃的な出会い。悪の手に落ちるマリアと圧倒的に無力な主人公。果たして二人は再会することができるのか…

そんな中、ついに人造人間が完成する。

それは、見た目では人間と区別がつかないほどの完成度。その表情はどこか機械的でおぞましくもある。ちょっとオーバーリアクション気味な気もするけれど、この女優さん、すごいな。

物語は息つく暇もなく目まぐるしく展開する。やがて人造人間に恐るべき命令が下された。気付けばのめり込んでいました。

しかして企みは成功し、圧倒的熱量でスクリーンを埋め尽くす、人、人、人。

まるで人がアリのようだ…

暴徒と化した群衆の恐ろしさ、迫り来る水の恐怖、子どもたちが逃げ惑うシーンがすごく怖かった。

怒濤のラスト、およそ一世紀近くも前の映画とはとても思えない。すごいモノを観た。



追記
フリッツ・ラング監督の奥さんテア・フォン・ハルボウさんが書いた脚本なんですね。夫婦で映画を作るってそれだけでグッときます。

端役750人、エキストラ約37,000人と言われているこの作品(本当かな?桁合ってるのかな?)。人が押し寄せてくるシーンはとにかく凄かった。バベルの塔のシーンでは、雇われた150人もの理容師に頭を剃られた1,500人ものエキストラの坊主頭が圧巻でした。