メトロポリスの作品情報・感想・評価

「メトロポリス」に投稿された感想・評価

も

もの感想・評価

3.7
ハルボウ/ラングにはまりそう
ユートピアの下にディストピア。
誰かの不幸の上に成り立つ幸せに気がついてしまった青年のお話。

ドイツ表現主義の代表作にして、ある意味でのSF映画の原点!!(らしい)
シネマヴェーラの今企画で一番観たかった作品!!



調べてみると、様々なバージョンがあるらしい。
フィルムが見つかって復元する度に新しくなるのだとか。
1929年版(つまり日本でのバージョン)(104分)、1984年版(82分)、2002年版(123分)、2008年版(150分)といった具合で。(wikiさんありがとう)

でもシネマヴェーラの今回の企画のページを見ると、148分と書かれている。
実際に映画の冒頭では2008年版であることが語られていたため、ヴェーラかWikiのどちらかの表記は必ず誤りということになるわけだが、
こんなことを書いたのは他でもない、今回僕が観た映画はメトロポリス(148分or150分)なのである。
すなわちこれ(104分)ではない。

なので、追加リクエストが承認されたらそっちに改めて貼り直そうかなと思ってます。




さっきも書いた気がするけどいいや。
今年のいつかに観た『カリガリ博士』で、すっかりドイツ表現主義とやらに惹かれてしまい、すごい興味あった今作。
案の定、セットが面白い。
だがこの映画、SF映画でもある。
この組み合わせが素晴らしく、登場人物のバックは魅力的だった。


字幕の降下にはめちゃくちゃびっくり。
読ませることを意識しすぎた現代には到底できっこない描写だ。
サイレント映画はここまで進化していたのか。
だいぶ衝撃的だった。


マリアの演じ分けもすごい。
一方は天使、一方は悪魔といったようで、悪魔の方にはすごい嫌悪感があった。



名台詞なのかな、「心が〜」なやつ。
どんな言葉だったかは忘れたけど、そんなことはどうだっていいのです。
大事なのは彼らがどうしたか、何によってそうできたのか、ですよ。

つまりは支配者と労働者のことですよ。
これすごい感動しました。
やっぱり"心"だとか、"情"だとか、そういうものこそ、世界を救うんじゃないかって。
そりゃ計算によってどーのこーの、発見によってどーのこーの、開発によってどーのこーの、あるだろうよ。

でもやっぱり最後の最後にあるのは、そういう"心"とかそういう類のもんなんだよきっと。

まだまだ格差社会の現代。世界中の人間"全員"がこうやって手を取り合えたらいいね。

このレビューはネタバレを含みます

繊細な演技とかじゃなくこういう誇張するけどその微妙さが出てる演技好き

構図とか舞台とか抜群
菩薩

菩薩の感想・評価

4.0
とりあえず「原点にして頂点!!!」となんか言いたいから言っておくが、あながち嘘でも無いと思う。まるで資本主義の歯車と化し品川駅で前が詰まり強制牛歩状態に追いやられているジャパニーズサラリーマンを眺めているかの様な冒頭からして「勝った…」と謎の握り拳を握っていた、握りすぎて血が出た(嘘ついた)。先日の台風被害、朝8時ないし10時までの計画運休、にも関わらずその時間に駅でスタンばっておらねば気が済まぬ者、スタンばらせておかねば気が済まぬ者、日本人よ、この作品が誕生してから70余年、何一つ変わっておらぬではないか…。内に秘めたる憎悪にたった一人の扇動者によって火をつけられ暴徒と化す群衆、先の参院選でN国党に投票した者達よ、責任を持ってマツコ・デラックスに対する集団訴訟の列に加わるが良い。階級闘争、格差社会、強欲、嫉妬、その先の崩壊。頭脳と手先に分化し心を無くした未来社会、その予見はズバリ的中しており、この国では印鑑とITの両立を目指す大臣まで現れた。点灯したランプに時計の針を合わせる事によってその熱を発散させるシステムがどの様に構築されているかが最後まで謎であったが、偽マリアのくねくねダンスは今すぐにでも完コピしたいくらい魅惑的なものであった、関節どないなっとんだ。後にフォースがSkypeと化したのも最早必然であろう、人類は今日も分かり合えてなどいない。
PANDADA

PANDADAの感想・評価

4.0
近未来のメトロポリス。そこは大資本家ジョンが支配する高層ビルが立ち並ぶ街。しかしそれを支える労働者達は地下の奥底での生活と過酷な労働を強いられていた。ジョンの息子フレーダーは「いずれ調停者が現れ、我々は救われる」と労働者を説得する娘マリアに心惹かれ、地下深くの労働者の街へ降りていくのだが、、、的なお話。

観て最初に思ったのは、
「BTTFのドクがC3PO作ってる」でした(笑)。
こっちがオリジナルで、有名な方こそオマージュなんですね。

100年近く前の作品ですが、近未来のディストピアを克明に描いていますね。

主演のブリギッテ・ヘルムも実に素晴らしい演技を魅せてくれます。労働者に平和的解決を説く優しい女性と労働者を扇動するように命じられたアンドロイドをものの見事に演じ分けています。

その他のキャスト達も無声映画ならではの優れた演技もまた観応え十分。

かなり古い作品なのに、SFを斬新かつ丁寧に描いているのも素晴らしい。

まさに100年先にも残る名作です。
えび

えびの感想・評価

4.0
" 心が、頭脳と手を結び付ける仲介者となりますように "
えー!なにこれすごい!1926年製作、1927年公開ですって?CGなんてもちろんないのに、限りある資材や技術、発想力・想像力だけで未来のディストピア観を構築・画として落とし込むその心意気に拍手だわ。思わず1926年に日本は一体なにをしていたのかと調べてしまったわ!製作はまさかあと数年で舞台の年を迎える現代においてこんなに評価されるとは思ってもいなかっただろうなぁ。
148分の完全復元版を鑑賞。
2026年未来都市メトロポリスにおける二極化した社会を描いたディストピアSF。冒頭の "頭脳" は知識を持つ上層階級、"手" は下層に住む労働者階級。
偽マリアの悪女っぷりがもう最高。劣情もよおす扇情ダンスの悪魔的なこと!そこから引き出された労働者の日々の鬱屈をぶちまけていく怒涛の反乱・火あぶりはかなりの迫力。何が何だかわからんけど、この鬱憤を晴らしてやる!っていう感じの大衆心理はその後ドイツが辿るユダヤ人迫害の心理とそっくり。この作品を送り出した後、ドイツは暗黒の歴史をひた走っていくのか…と思うと縮み上がる。わたしもこの世界にいたら間違いなく労働者側でうおーっと蜂起していただろうな。
実は半分近く寝てしまったのだけど、どのタイミングにおいても、ハッと起きるたびに目に映るシーンが今何をやっているのか問題なくわかるというのがサイレントならではなのか地味にすごい。映画というものがいかにセリフに頼っているのかよくわかった。半分近くはさすがに寝すぎではあるが…。
SFにかなり苦手意識があるのだけど、この迫力と熱意に圧倒された!スクリーンで観ることができてしあわせ!
じゅんP

じゅんPの感想・評価

4.6
制作時点からの100年後…慧眼!!

体系的・機械的を通り越して機械そのものと化した社会構造、縦の関係性&上下の隔絶、感情の有無、明暗。恐怖と笑いを練り込み、やさしくキツい、たのしくツラい階級闘争ディストピア生活を饒舌に「見せ」てくれる。
kyoko

kyokoの感想・評価

4.5
「ドクトル・マブゼ」や「ニーベルンゲン」といった初期の有名作は観たことがない私にとって、これまで観たラングの中ではいちばん古い作品となる(ハルボウ作品としては「M」に続いて2作目)。
なぜか断片的には記憶があるのでなんとなく観た気になっていたけれど、ストーリーを全く覚えていない。
やっぱり初見だった。
そうだよね、こんな面白いもの忘れるはずがない。

1926年が想像した2026年。
摩天楼の空中回廊、テレビ電話、飛行機(さすがにプロペラ)、美しい造形を持つアンドロイド。
ロトワング博士(完全にドク)による、それいったいどんな仕組みなんだよう的な装置を筆頭に、SF的小道具がいちいち楽しい。
”Yoshiwara”でのお坊ちゃま衆や娼婦、逃げまどう子どもたち、理性を失った労働者集団……とにかく群衆描写がド迫力。バベルの塔の特殊撮影にも驚いた。
wikiによると「主演俳優の他に端役は750人、エキストラの男性は25,000人、女性11,000人、子供750人、黒人100人、中国人25人」らしい。若干眉唾だけどありえるかも。

SF、階級闘争、恋愛譚。
最後までハラハラしたストーリーの終わりは案外に平和的だった。
個人的には邪悪なほほえみと妖艶さを持ったニセマリアがいちばん好き。ダンス最高だったなー。

ついでに私の記憶の出所も判明した。
84年ジョルジオ・モロダー版のサントラに入っていた、フレディ・マーキュリーの「Love Kills」。このPVが映画縮小版といった感じで、主要なシーンががっつり入ってたのね。
Ken

Kenの感想・評価

3.8
とんでもないことになってた。

見ていて、なんか、ヒットラーっぽいんだよなぁと思っていた。特に、マリア。
クローンのマリアが労働者を扇動してクーデターを企てる。
最終的に地下世界は壊滅する。

この映画は第二次世界大戦以前の映画。
第一次世界大戦が終わったのが1918年。
第一次世界大戦直後にドイツで作られたもの。
ヒットラーは生まれるべくして生まれたのではないか。そもそも、当時のドイツの気風にそういうものがあったのではないかと感じ、怖くなった。

映画としては、本物のマリアが仲介者が必要と唱えているところに主人公に照明が照らされるところなどうまく演出するなぁと思った。
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