MasaichiYaguchi

貞子のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

貞子(2019年製作の映画)
3.5
鈴木光司さんのミステリー・ホラー小説を原作に映画化した「リング」、「リング2」から14年振りに、中田秀夫監督が池田エライザさん主演で再びメガホンをとった本作は、同様に両作品のキャストだった佐藤仁美さんも同名の役柄で登場したりして、貞子や彼女が持つ底知れぬ恐怖の〝原点〟を見詰め直している。
近年で「貞子」が冠タイトルになっている映画というと、「貞子3D」とか「貞子vs伽倻子」というようにエンターテイメント性が高いものだったが、この〝原点回帰〟の本作は、改めて貞子とは何なのか、どう生まれ、恐怖のアイコンとなっていったのかを初めての人でも分かるように描いていく。
そして「リング」「リング2」では「呪いのビデオテープ」が〝キーアイテム〟になっていたが、アップデートした本作では、You Tubeをはじめとした「動画」が〝鍵〟を握っている。
更に現代の社会問題「ネグレクト」が作品のバックボーンになっていて、ホラーだけでない主要女性登場人物たちの切なさがエモーショナルに伝わって来る。
本作で〝軌道修正〟したように思えるシリーズが今後どう展開されていくのか期待したい。