シアン

貞子のシアンのレビュー・感想・評価

貞子(2019年製作の映画)
4.2
一言で言って最高でした…

レビュワー様方の酷評が多いので観るのためらってたんですが、観てよかった。

たしかにね、不朽の名作『リング』の系譜として見ると物足りないかもしれない。それはこれまで観てきた者としてはわかります。「貞子おまえ、最初の設定どこ行った」状態だし、恐怖演出も弱い。

しかしながら「マンネリ脱却」という意味ではアリだと思います。

そもそも、日本人は「マンネリ大好き民族」だと思うんです。ゴジラ、ポケモン、名探偵のおとな子供。

決して「マンネリが悪い」と言いたいわけではなく、長く続いてるからこそ、そのフォーマットを踏襲することによるカタルシスがあるのはわかるんです。水戸黄門の印籠的な。

しかし今作はそのフォーマットをあえて捨てて、新しいことをやろうとしたように感じられます。

シリーズを知る者にお決まりの設定がなくなったことで、先が読めない展開になっている。「ここでこうしては?」というのがまったく当てはまらないので、終始ハラハラしながら観られて楽しかった。

姉と弟の絆がフォーカスされていたのも良かった。加えて、主人公と超能力少女との心の交流に涙。

愛されなかった者たちの悲しみ、孤独、憎悪、呪い、そして愛情。ホラーの名を借りた、良質な人間ドラマを観た気分です。恐怖の中にある感動が眩しかった。

しかし、最終的に誰も救われないのがさらに良い。やっぱり正しくホラーだった。ホラーにハッピーエンドは必要ない。

池田エライザ大好き。
眉をしかめた困り顔させたら世界一じゃないかと思います。

あと『女王蜂』によるエンディングテーマかすごく良かった!
シアン

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