記憶喪失の少女を担当することとなった心理カウンセラーエライザの周囲で不可解な出来事が起こり始める。一方、人気YouTuberを目指す主人公の弟は、再生数を稼ぐため5人の死者を出した団地の火事現場に忍び込んで心霊動画を撮影するが、その動画をアップしたのち行方不明となってしまう。動画に映り込んでいたのは、髪の長い女の姿…。貞子が登場するホラーシリーズの続編。
監督はシリーズ第1作などを手がけた中田秀夫。Jホラーブームの火付け役となったホラーヒロイン・貞子が巻き起こす恐怖と、その怨霊誕生の真実を描いている。
テレビから出てくる貞子は、もはや「まってました！」の伝統芸能。貞子屋ッ！ブラウン管ではなく薄型テレビから出てくるのがナウい。なぜだか、その揺るぎなさにみとれてしまった。令和の這い寄りはクリアにアクティブ。這って出てくるほふく全身をスピーディーに省略してやってくる。
ストーリーのメインテーマは、「自分が死ぬ」より怖いのは「大切な誰かが死ぬ」ことだと、一作目『リング』や『仄暗い水の底から』などJホラークラッシックのプロットを踏襲しており、原点回帰を銘打つにふさわしいものだと思う。大切な家族になにもしてあげられない悲しさは、一般人が実感しやすい恐怖の在り方だ。
しかし、切羽詰まった余裕のない愛情をもったひとは自分の辛さに案外鈍感でいられるものだと、そういった心理的な危うさを描いたら天下一品だったはずの田中秀夫監督なのに、ここ最近は調子がわるい。
思慮が足りず呪いに触れてしまう弟や、途中から旅について来るWebマーケティング社会の男など、エライザまわりの登場人物にいまひとつ好感が持てないため、やはり怪物貞子と天使エライザが接近するガールミーツガールなスペクタクルシーン以外のドラマパートは盛り上がりに欠ける。
何はともあれ、池田エライザ七変化が映画の魅力だ。ワンピース白衣エライザ…縦セタロングコートエライザ…部屋着くつろぎエライザ…おねロリ抱き寄せエライザ…入院着体育座りエライザ…（呪文）
