チッコーネ

サバハのチッコーネのレビュー・感想・評価

サバハ(2019年製作の映画)
3.5
韓国映画がタブーへ切り込む際の大胆さには驚かされるが、本作も然り。
宗教というデリケートな分野へ、エンタメという土足で踏み込んでいく作風に、賛否両論が寄せられそうな問題作だ。
同国の宗教人口で多勢を占めるのはキリスト教だが、本作の要となるのは仏教、その信徒から崇められる菩薩を悪役に配すという不敵さに、ヒヤヒヤさせられる。
またイ・ジョンジェ演じる狂言回し役の牧師も、胡散臭さでいっぱい。
『ヘロデ大王による幼児虐殺』を引き合いに出す彼の台詞で「全体の中和を計っておこう」という計算も感じられた。

音楽が不気味で、新人女優や無名俳優しか出てこない冒頭は、どんよりとした暗さが強烈な印象を残す。
人気俳優たちの登場で明転していく展開が、もったいなく感じられるほど絶望的だった。