『世界の中心で愛を叫ぶ』、『パレード』の行定勲監督の男性同士のラブストーリー。
受け身体質で自分を好きになってくれる人と付き合うという恋愛スタイルの大伴は、ヘテロという自認でありながらも、脅迫から始まったとはいえ同性である今ヶ瀬とも恋愛をに至るという話。恋愛において受け身体質になりやすい傾向があるのは女性の方で、積極的な今ヶ瀬よりも大伴の方が、ええかっこしいところ、過去の女性への執着が弱いところも含めて女性的。直接大伴を取り合うことになる夏生先輩は男っぽい性格。大伴の心を女だと見なせば、意外と理解しやすいのかもしれない。
実際の性別とセクシャリティはさておき、恋愛とは積極的な男心をもつ人と受け身な女心で成り立つものという示唆が見えてくる。周りにも受け身的な男と積極的な女の夫婦っている。
一線を越えるための脅迫は強引を通り越して卑怯だとも思うが、とりあえず男同士というハードルを越えるのに必要なものだったのだろう。
ジャニーズ事務所所属の俳優が主演だからラブシーンもイチャイチャの延長線上と高をくくっていたが、予告編の雰囲気とは違いかなり生々しいので要注意。
恋愛以外のテーマ設定はほとんど感じられないのだが、ラブストーリーのヒット作には何らかの普遍的なものが見えてくるもの。