しちみ

窮鼠はチーズの夢を見るのしちみのレビュー・感想・評価

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)
3.9
すっごい上質な恋愛映画でした!!
日本の映画でLGBTを題材に取り上げているのがあまり印象になく、本作のようにネームバリューのあるキャストで作品を作るとなると言い方は悪いですが集客目的が強い作品なんじゃないかと思っていました😅

ところがどっこい、見てみたらこりゃ凄い。よくある恋愛の憤りや不憫さ、辛さ、楽しさ、苦しさみたいなものが全部繊細に緻密に綺麗に丁寧に描かれてました。海外作品に多いLGBTの苦悩、周りからの不憫な扱いなどというものをピックしてはおらず(無論、自然にそういうシーンも発生していたが)終始一貫としてただ純粋な恋愛映画って感じでした、本当に。

初めて話したその日から何年も何年もずっと好きで好きでたまらない彼は同性で結婚もしてて、なんなら浮気もしてるようなどうしようもない奴。そんな奴の身辺調査を奥さんから依頼され、それをキッカケに2人は再会し浮気の事実を奥さんに伝えない代わりに『キスさせて』とお願いするのだが…。

好きでたまらないのに信じることができない苦しみと自分の気持ちに気付き始めているのに色々な思考が邪魔して行動や態度に出せない情けなさ。好きな人のためだったら嫌な女にでも、嫌な男にでもなれる傲慢さ。手に入れられなくても、ただその人のことを見つめられて近くにいるだけで良いと思ってしまう弱さと。切ねえ恋愛だなぁ。

『心底好きになるってその人だけ全てが例外になるってことなんですよね。………あなたには分からないか。』